――チコちゃんは同級生が姪っ子のネイル練習台になった写真をSNSにアップしたのを見て、自分もタダでしてもらおうと姪っ子のアカウントや学校、自宅を特定しようとしたりと、“クレクレちゃん”な行動で周囲に嫌がられてしまう、誰もが関わりたくないような人物として最初は描かれます。しかしチコちゃんの過去が描かれていく中でその印象が変わっていきますよね。この作品を通して、特に伝えたいポイントはありますか?
ぱん田ぱん太さん(以下、ぱん田):「人は変われる」ということを伝えたいです。私自身もそうだし、「自分は変われない」と思っている人に、変われるんだと伝わればいいなと思います。
――大人になってから非常識なことをする人は、「今さらもう変われない」と周囲から思われることが多いかもしれないですね。
ぱん田:大人になると自分で人間関係を選ぶことができるので、周りの人が何も言わずに離れていくことが変わることができない原因かもしれません。
チコちゃんの場合は、たまたま問題がバレる前にヒロくんと結婚して、彼が「夫婦になった以上は即離婚という訳にもいかない」と考えて、じっくりと向き合ってくれた結果、変わることにつながっていきました。
自分を変えてくれる人と出会う機会は大人になったら減ってしまうと思いますが、非常識な行動を取ってしまう人にそういうチャンスがあればいいなと思っています。

『欲しがるあの子を止められない とんでもないクレクレちゃんに絡まれた結果、 人生を深く考えた話』(KADOKAWA)
――人によって人が変わるという意味では、書籍に収録された過食に関するエピソードが印象的でした。
ぱん田:あれはお気に入りのエピソードで、実は私自身の体験が元になっているんです。昔、私がストレスで爆食いしようとしていたら、友人が「爆食いに付き合う」と言って一緒に食べてくれたことがありました。
友人は食べることに対してあまり興味がないタイプだったのに。そうやって付き合ってもらっていたら、私が友人に気を遣うようになったこともあって、自然に過食しなくて済むようになりました。
――チコちゃんのその後について書籍では気になる描写がありましたが、ぱん田さんはどうなってほしいと思いますか?
ぱん田:直ってほしいですね。チコちゃんにはヒロくんやヒロくんのご両親という味方がいますから、寄り添ってくれる人がいると人は変われると思います。
――ぱん田さんだったら、パートナーがチコちゃんみたいな行動を取ったらどうしますか?
ぱん田:私だったら、ヒロくんみたいに配偶者に尽くすことはできないなと思います。話し合うことで自分も得られることはあるはずなので、それくらいはするかもしれません。でもやっぱり、あそこまで寄り添うのは難しいですね(笑)。