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代表作がパッと浮かばないけど、味わい深い。36歳俳優の“安心感”は結婚報告にも

 中村倫也の魅力とは。どの出演作品を見ても、独特のオーラを感じる。しかも必ず名演ばかり。  毎週木曜日よる9時から放送されている『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)は、わりとホラーな雰囲気の作風ながら、さわやかで味わい深い中村節が快調なドラマ作品だ。
 『ハヤブサ消防団』公式サイトより

『ハヤブサ消防団』公式サイトより

「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、本作でミステリ作家を演じる中村倫也の不思議な魅力を読み解く。

中村倫也は“とても不思議な人”

 中村倫也が36歳だなんてびっくりではないか。若いときからどこか大人っぽくて、ずっと変わらないクールな風情がある。捉えどころがない魅力ともいえる。とても不思議な人だ。  中村の代表作を考えたとき、パッと浮かばないのはなぜか(あくまで筆者個人の意見)。映画とドラマを合わせるとすごい数の出演作がずらっと並ぶ。年代順に作品名を追っていくと、そうだこの役だった、あの役だったと鮮明に思い出すのに。  ますます不思議な人だ。あえて主演作ではない作品から選んでみると、映画『ウェディング・ハイ』(2022年)で演じた新郎役がとびきり味わい深い名演だったように思うのだけれど、どうだろう?

脱力した演技がさえる『ウェディング・ハイ』

『ウェデイング・ハイ』DVD(松竹)

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『ウェディング・ハイ』は、ひと組の新郎新婦の披露宴を舞台に、あれやこれやとドタバタコメディを繰り広げる。群像劇形式でクセが強いキャラクターが目白押しの中、中村が新郎・石川彰人役を演じる。  披露宴の段取りを面倒くさがりながらも新婦には絶対気取られないよう振る舞う姿が可笑しい。基本やる気な〜い雰囲気の彰人が、モノローグで本音を吐露する様子もとにかくリアル。  式場の見学会ではなんとなく楽しそうに振る舞ったり、新婦と暮らすアパートの一室でひとりグラスを片手にベランダにたたずむ。これら細部の場面が畳み掛けられるほど、中村の脱力した演技がどんどんさえる。  群像劇のいちキャラクターなので主演ではないにしろ、本作こそ中村倫也が白眉の演技を見せていると筆者は思っている。
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