夫の不倫相手と食卓を囲む妻…。ただ一人「こいつ殺す」と決意したのは|ドラマ『泥濘の食卓』
不倫によるおぞましい恐怖の連鎖が加速する。ホラーテイストで極端にデフォルメされ、恐怖は倍増するのである。
毎週土曜日よる11時30分から放送されている『泥濘の食卓』(テレビ朝日)は、“パラサイト不倫”という新たな不倫ジャンルで、人間の実態を浮き彫りにする。
「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、「これが泥濘(ぬかるみ)の食卓か…」と驚いた本作第5話を解説する。
妄想もここまでくると、もはや現実なのだろうか。少なくとも、現実に限りなく近い何かなのだろう。日向坂46の齊藤京子扮する捻木深愛(ねじき・みあ)というキャラクターの行き過ぎた想像力の豊かさといったら。
初めは「スーパーすずらん」の店長と店員として。次に深愛が精神を病んで店を辞めたあとは、店長と元店員として、不倫関係をズルズル続ける。彼女が店長・那須川夏生(吉沢悠)に望むのは、肉体も精神をも超越したもの。
でも不倫は不倫でしかない。この関係性に明るく幸せな未来が待っているとはとても思えない。
にも関わらず、深愛は夏生との間にもし子どもができたら、こんな名前にしようかなどとノートに書きつける。そしてそのページを愛おしそうに、ひとり指でなぞる。
要するに深愛にとっての妄想は、妄想なのではなく、歪んだ日常に風穴をあけて無理やりにでも取り出したい現実なのだ。その現実を拡張させるべく、彼女は、夏生の家庭という本丸に切り込んでいく。
支援団体を装って、精神を患う夏生の妻ふみこ(戸田菜穂)に近づく。夏生を幸せにすることが目的なのだが、ふみこの心のケアをしたところで果たしてなんの意味があるのか。深愛は意味があると思っているが、にわかには信じられない。
まんまと策にハマったふみこがメールを送ってくる。つらい毎日について書かれた短い文面を見て、深愛は目を輝かせる。
カウンセリングの勉強を本格的にはじめ、「毎日が充実してる」とまで言うのだが、やはりどうかしている。
現実に限りなく近い何か

妻の心のケアを始める深愛

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