
さらに問題児がもうひとりいる。夏生の息子で、深愛に粘着質な好意を寄せるハルキ(櫻井海音)だ。彼もまた深愛に負けないくらいこじらせた人物で、「深愛さん」とばかり毎日呟いている。
第3話のラストで、深愛と夏生が車内でキスする瞬間を目撃してしまう。これでさらなる暴走スイッチが入ってしまうのではないかと、こちらはヒヤヒヤしながら事の次第を見つめる。
第4話冒頭は肝をつぶすかと思った。遅く帰宅した夏生に対して、ハルキが「ほんとに会議だったの?」と詰め寄る。
暗がりの冷蔵庫とリビングの間に緊張が走る。恐ろしい間合いの時間が流れる。すると素っ頓狂な顔をした夏生が切り返す。でもキスの瞬間を見てしまったハルキは、夏生の背中に殺気を帯びた眼差しを送り続ける。

いやぁ、怖い。第1話で深愛と夏生が初めて食事をする鰻屋の場面もそうだったが、ところどころで暗がりのホラー空間が意図的に演出されている。ゾワッとする照明の加減もうまい。
「パラサイト不倫」というキャッチフレーズとともに、人間同士の恐怖の連鎖がどんどん連なる。不倫の恐怖というか、むしろ恐怖の不倫が魔物のように人間たちの精神に寄生しているように見える。
あるいはもうひとり、ハルキの幼馴染で彼のことが好きな尾崎ちふゆ(原菜乃華)にもこの寄生虫はいるようだ。ハルキにフラれ、彼の好きな相手を必死で探そうと、思いつく限りノートに名前を書きつける姿がおぞましく映る。執着とはここまで人を狂わせるものなのか。