“別に”騒動、ドラッグ逮捕…沢尻エリカが芸能活動を再開。パッチギ!、1リットルから振り返る
2019年、麻薬取締法違反で沢尻エリカが逮捕された。2020年の初公判では、俳優引退にも言及し、世間からは引退宣言と理解された。
だが引退ではなかった。沢尻は2024年2月、主演舞台で実に“2度目の活動再開”を果たすのだ。
「イケメンと映画」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、“最適役にして最適解”と思う沢尻エリカの復帰を解説する。
ゼロ年代は、テレビドラマ最後の黄金期だった。特にフジテレビ作品では、『白い巨塔』(2003年)や『のだめカンタービレ』(2006年)など、名作が揃い踏み。そしてちょうどゼロ年代が折り返す2005年、フジテレビ10月期火曜日よる9時に放送されたのが、『1リットルの涙』だった。
主演は沢尻エリカ。沢尻扮する豆腐屋の長女・池内亜也は心やさしい15歳。難病を発症し、車椅子生活を余儀なくされる。身体がどんどん動かなくなる亜也の姿は当時の沢尻にしか演じられない熱演だった。
同作の沢尻は「こんなにかわいい人、見たことがない……」という衝撃でもあった。父母役の陣内孝則と薬師丸ひろ子の瞳が常に潤む表情も相まって、とにかく涙なしでは見られなかったことを深く記憶している。最終話の視聴率20.5%も納得の数字ではなかっただろうか。
同作は沢尻にとってドラマ初主演作品だった。初々しさ。可憐さ。透明感。純真さ。などなど、約18年前の彼女に対して浮かぶ形容は、いかにもピュアな言葉ばかり並ぶ。
この作品でそうしたイメージが完全に定着したものと思っていた。あるいは、同年公開の『パッチギ!』では、ヒロインに抜擢され、井筒和幸監督も太鼓判を押す才能だった。
ところがどうだろう。2009年の結婚あたりからかなり大胆にイメージチェンジをはかってきた。いやそもそも『1リットルの涙』の沢尻はあくまでイメージに過ぎず、本来の彼女が持つ性質はよりダーティーなものだったのだろう。
結婚を機に活動を一時休止するのだが、復帰後5年ぶりの映画主演作となった『ヘルタースケルター』(2012年)がドラマ初主演を超える最適役となった。ピュアさが払拭され、まるで無双状態に入った感じさえあった。その後は怖いもの知らず、抜群の演技センスを武器に適役をどんどん物にしていく。
「こんなにかわいい人、見たことがない…」という衝撃
適役をモノにしていく演技センス
この連載の前回記事