スーパーの店長と店員の不倫よりももっと闇が深いのは、その息子だった。心の声が怖すぎる
何とおぞましく、怖ろしいスパイラルだろう。ひとつの不倫から、まさかここまで事が複雑に入り組むとは。
毎週土曜日よる11時30分から放送されている『泥濘の食卓』(テレビ朝日)が描く“パラサイト不倫”は、ほんとうのところ何を意味しているのか。
「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、不倫以上にヤバい恐怖を解説する。
誰が怖いのか、もはやわからない。『泥濘の食卓』の放送が開始されるとき、“パラサイト不倫”がテーマだと聞いて、それがどんなものかと、いろいろと想像した。
何かが寄生する不倫なのか。それとも不倫に何かが寄生する物語なのか。クライマックスへ向けて怒涛の展開を連打する第7話まできて、やっとその意味合いがわかってきた。
パラサイト不倫とはつまり、同心円状の恐怖のスパイラルなのだと。スーパー店長・那須川夏生(吉沢悠)と元店員・捻木深愛(齊藤京子)との不倫が中心にあり、その周りを囲む人々が、恐るべき負のサークルを形成する。
最初は、夏生に対する異常なまでに手放しの愛を捧げる深愛に、視聴者は強い恐怖を感じる。そして精神を病む妻・ふみこ(戸田菜穂) がいるにも関わらず、不貞に走る不倫夫に最低の烙印を押す。
でもそれがだんだん慣れてきてしまう。なぜなら、深愛と夏生の不倫以上にヤバい要素が、実はそこら中にごろごろしているからだ。もっとも闇が深い存在は、夏生の息子であるハルキ(櫻井海音)ではないか。
彼は深愛にココアを買ってもらい、優しくされたことで、彼女のことが好きになる。これだけなら、何てピュアな子だと慈しみたくもなるのだが、粘着質な彼の情念は深愛を遥かに凌ぐ。
パラサイト不倫とはつまり…

不倫以上にヤバい要素
