離婚寸前の不倫夫、包丁で刺され救急車へ。そのとき妻にかけた“ひと言”が夫婦を再生させる|ドラマ『泥濘の食卓』最終話
ドラマ『泥濘の食卓』(テレビ朝日系)がラストを迎えた。結末に意外性はなかったものの、それぞれの「人間」が丁寧に描かれていたのが印象的で、寂しくはあっても爽やかな結末だったように思う。
結婚を考えている相手がいると言っていた捻木深愛(齊藤京子)に不信感を抱いていた母・美幸(筒井真理子)は、娘から相手の名前を聞き出す。
深愛にとっては毒母である美幸が、実は深愛のことがただひたすら心配で、囲い込むような愛情しか与えられなかったことがわかる。美幸の気持ちはわかるが、娘を独立させまいとすることじたいが「毒」なのだ。親は子を気持ちよく羽ばたかせてやるのが使命のはず。それができないのは、自らも自立していない証明でしかない。
一方、夫・夏生(吉沢悠)の不倫相手が深愛だと知ったふみこ(戸田菜穂)は、息子のハルキ(櫻井海音)とともに家を出ていくと告げる。狼狽する夏生に、ふみこは穏やかに「もう決めたの」と言う。メンタルを病んでいたふみこだが、生来の強さが垣間見えた瞬間だ。
異常なまでにハルキに執着し続けるちふゆ(原菜乃華)だったが、友人たちの自分を見る目が変わっていることに気づく。彼女が嘘をつきまくってハルキを孤立させていることが、担任にも周りにもわかり始めていたのだ。ちふゆは少しずつ追いつめられていく。
ふみこは深愛に一緒にご飯を作ろうとメッセージを送る。母によって軟禁状態に置かれていた深愛は、母を振り切ってふみこの元へ。いつものように料理を作ったが、ふみこは「もうひとりでできるね」と深愛に言う。これが最後ね、と。いつしか立場が逆転し、ふみこに精神的に頼っていた深愛はうろたえる。
娘を囲い込む母親の「毒」、息子のために母が見せた「強さ」

「これが最後ね」夫の不倫相手に笑顔を向ける妻
