離婚寸前の不倫夫、包丁で刺され救急車へ。そのとき妻にかけた“ひと言”が夫婦を再生させる|ドラマ『泥濘の食卓』最終話
囲い込む愛は愛ではないと知った主人公
ふたりはバスに乗る。いちばん後ろの席に座るが、ハルキはどこまでも深愛についていくつもりだ。深愛は最後の理性を働かせ、「どうしてもそうしたいなら、ご両親に言ってから」とハルキをバスから引きずりおろす。深愛は身をもって知っている。囲い込む愛は愛ではないということを。だからハルキを手放さなければいけないことを。
ひとりきりになってバスに乗り続ける深愛は、何も考えられないような表情で座っている。しばらくして両手でじっと自分を抱きしめた。彼女の人生はここから始まるのだと思わされるラストシーンだった。
不倫ドラマ以上に「人生」を感じさせてくれた
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio


