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離婚寸前の不倫夫、包丁で刺され救急車へ。そのとき妻にかけた“ひと言”が夫婦を再生させる|ドラマ『泥濘の食卓』最終話

囲い込む愛は愛ではないと知った主人公

 自分が将来、夏生と一緒になりたいがためにその妻に近づいた深愛のほうは、何か得るものがあったのか。夫婦が仲良く運ばれていく救急車を見送って、深愛はただ呆然としていた。そんな彼女についていくハルキ。  ふたりはバスに乗る。いちばん後ろの席に座るが、ハルキはどこまでも深愛についていくつもりだ。深愛は最後の理性を働かせ、「どうしてもそうしたいなら、ご両親に言ってから」とハルキをバスから引きずりおろす。深愛は身をもって知っている。囲い込む愛は愛ではないということを。だからハルキを手放さなければいけないことを。  ひとりきりになってバスに乗り続ける深愛は、何も考えられないような表情で座っている。しばらくして両手でじっと自分を抱きしめた。彼女の人生はここから始まるのだと思わされるラストシーンだった。

不倫ドラマ以上に「人生」を感じさせてくれた

 不倫が題材、齊藤京子初主演ということで話題を呼んだこのドラマ。若手の原菜乃華のキレっぷりや櫻井海音の怯えぶりも目を引いた。吉沢悠、戸田菜穂、筒井真理子という演技達者が揃ったことで、ただの不倫ドラマ以上に「人生」を感じさせるものとなった。 【関連記事】⇒枯れたおじさんと不倫する、田舎住み25歳女性の胸のうち。“純粋に”恋に突っ走る恐ろしさ|ドラマ『泥濘の食卓』 【関連記事】⇒好きな男の子に「レイプされそうになった」と噂を流す少女。その“とんでもない理由”にゾゾッ…|ドラマ『泥濘の食卓』 <文/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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