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離婚寸前の不倫夫、包丁で刺され救急車へ。そのとき妻にかけた“ひと言”が夫婦を再生させる|ドラマ『泥濘の食卓』最終話

「あんたが来てからめちゃくちゃ」包丁を振りかざしたのは

 ハルキとともに食事をとろうとしたとき、マンション入り口でちふゆとともに夏生が帰ってくる。5人が一堂に会したとき、ちふゆが深愛を認めて「あんたが来てから、全部めちゃくちゃになった」と罵詈雑言を浴びせる。夏生は玄関で呆然としたまま、深愛は固まり、ハルキは恐怖で動けない。  ちふゆがキッチンにあった包丁を手にしたとき、真っ先に取り上げようとしたのはふみこだった。包丁で手を切られたふみこの元へ駆けつけたのは、夫の夏生。そして怒りを爆発させたのはハルキだった。深愛をかばおうとしたハルキに、ちふゆは包丁を振りかざす。  ハルキにとっさに覆い被さったのは、父の夏生だった。夏生の脇腹に包丁が刺さる。そこに駆け寄ったのはふみこ。夫婦は息子を守ったのだった。  ちふゆは自分がしでかしたことに驚いて逃げる。

刺された不倫夫の“ひと言目”に人間性が表れる

 夏生が救急車で搬送される。乗り込むふみこ。夏生はまず「ふみこ、大丈夫か」と言う。ゲスい不倫を続けてきた夏生だが、この一言に彼の本来の人間性が表れている。ことなかれ主義のように見える夏生だが、彼はもめごとが嫌いで、心根は優しいのだ。自分が思いきり刺されているのに、「みんな、たいしたことなくてよかった」と他にケガ人がいなかったことに安堵するのだから。 バチが当たったんだよなあ。こんなの僕だけでいいからさ」とため息をつく夏生に「そうだよ」とふみこが言う。目を見交わして笑うふたり。このふたりはもう離れないだろう。  夏生は車外で見守る深愛に、「深愛ちゃん、今までいろいろごめんね。バイバイ」と言う。ふみこは「深愛ちゃん、バイバイ。ありがとう」と思いを込めて手を振った。自分の人生への後悔、夫の浮気への苦悩などに押しつぶされてきたふみこだが、当の夫の不倫相手によって再生することができた皮肉な結末である。
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不倫ドラマ以上に「人生」を感じさせる結末
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