一方、昨今の新しい潮流として、
脚本家自身が原作側に参入して映像化を目指す動きがあります。泣ける小説家としても人気の宇山佳佑氏、時代小説作家の土橋章宏氏は脚本家がキャリアのスタートで、両名とも現在・脚本家としても活躍中です。自作の小説出版後にその評価を受けて映像化している作品もいくつかあります。ベテラン脚本家の尾崎将也氏、伴一彦氏もオリジナルの小説を出版し、好評を得ています。
伴氏はXにて、自身の著書である『あなたも人を殺すわよ』(光文社)は「もともとテレビドラマ用に企画」したものであり、「自分がテレビドラマとして書きたいものを小説で書いた」と執筆の理由を述べています。※2024年2月3日、4日のポストより

画像:『あなたも人を殺すわよ』 (光文社)
漫画に目を向けてみても、『マルモのおきて』(フジテレビ系)の脚本家・阿相クミコ氏は集英社のWebマンガサイト「となりのヤングジャンプ」で連載中の『未来のムスコ』の原作者としても人気を集めています。
『VIVANT』プロデューサーが原作企画を担当したドラマも
また、23年4月期にTBSドラマストリームで放映された『私がヒモを飼うなんて』は
TBSテレビとマンガ配信アプリ「マンガボックス」の共同制作により誕生したドラマです。このドラマはまず映像化を見越して漫画が連載され、その後ドラマが制作・放映されました。漫画原作は主に脚本家として活動する本山久美子氏が、企画はドラマ『VIVANT』(TBS系)のプロデューサー飯田和孝氏が担当しています。

画像:TBSテレビ『私がヒモを飼うなんて』公式サイトより
ほか、脚本家・ドラマ制作会社が出版社と共同でIP開発をし、映像化を前提としたマンガ企画を立ち上げるという話も昨今多く耳にしています。局と距離の近い脚本家が、自身が原作に携わった小説やマンガ原作の企画書を自ら書き、制作会社や局に持ち込み、成立したケースもあると聞きます。