「本人が死にたかったんだから」妻の自殺でも夫は他人事。介入できない妻側親族の苦しい訴え
―連載「沼の話を聞いてみた」―
入信したカルト教団の教えにより医療を拒否し、鬱が悪化した末に自死した妹。「実家の財産を教団の養分にされてしまう」というやりきれなさと、妹が不幸な最期を遂げたことで心労を背負う姉。
その経緯を、当連載へ話してくれたのは、50代の藤原麗華さん(仮名)だ。
この話の「姉」は麗華さんの母である。つまり親子そろって「妹」である叔母に振り回されてきた。麗華さん母の実家は田舎の旧家で、歴史ある立派な屋敷に暮していた。それを相続したので、叔母はそれなりの財産を持っていた。
そんな叔母が入信していたのは、仏教系の新宗教である某教団。頻繁に報道されるような有名教団ではないが、全国に支部もありそれなりの規模であると思われる。
教団への多額の献金。人の不安を煽る勧誘行為。麗華さん母の実家でもある屋敷が、集会場のように使われていたこと。そして、あきらかな精神疾患であったが“教え”によって医療を拒否し、鬱を悪化させ首を吊って自死した。
……そうした経緯から、麗華さん親子は「カルト教団」と呼んでいる。
叔母の入信がわかったのは、親族への勧誘行為からだった。麗華さんの夫の入院中に「先祖の供養をしないから、病気になった」と言われ、別の親族は妊娠中に「この家には成仏していない霊がいる」と脅された。どちらも信者仲間を伴って、訪ねて来られたという。
勧誘行為について、真っ先に相談した相手は、叔母の夫である叔父だ。
「ところが叔父は、面倒ごとが大嫌いで、見て見ぬふりを貫くタイプ。ある程度予想はしていましたが、『うちの妻はそんなもの入っていない』とシラを切っていましたね。でも、証拠が山ほどありますから、と詰め寄ると最後はしぶしぶ認めました」
マルチ商法にしてもスピリチュアルビジネスにしても、「家族が妙なものにハマっている」体験談を聞くとき、非常によく耳にするのが、「家庭内で父親が空気」というパターンである。麗華さん叔母の家も、同様であった。
実家がカルトの集会場に
「父」は知らぬ存ぜぬ

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