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「本人が死にたかったんだから」妻の自殺でも夫は他人事。介入できない妻側親族の苦しい訴え

麗華さん母は結婚で家を出て、残った妹(叔母)が親の介護を担ったので、実家の財産のほとんどを叔母が相続している。そこから叔母が自死したため、叔母が所有していた財産は現在、姪と叔父の手にわたっているのだ。 叔母がカルトに202405麗華さん母にとっては「元は自分の親のもの」であるが、法律上、口を出す権利はない。巷では「宗教団体に献金されてしまうから相続させたくない」という法律相談もあるようだが、麗華さんのケースは、すでに財産が姪へわたっているのでどうにもできないだろう。

宗教への不信感

もともと麗華さん一家は皆、宗教が苦手であるので、なおさら憎しみが強くなる。麗華さんの両親は「理屈にあわないことは大嫌い」という合理主義者で、最低限の墓参りはするものの、信心深さとは無縁だ。 麗華さん自身は、高校時代のトラウマがあるからだ。 叔母がカルトに202405「同級生で、すごく変わった女の子がいたんですよね。変わっているを通り越し、ほぼ毎日、奇行を見かけました。いまの時代なら、何かしらの診断が下りたんじゃないでしょうか。ところかまわず、走り出したり踊ったり叫んだり。でも、とてもチャーミングで明るい子でしたよ」 ところがその奇行に悩んだ同級生の親が、地元の霊能者へ相談。そして「憑き物」としてお祓いをすることとなり、その儀式によって死んでしまったのだ。

誰も幸せではない現在

「当時、地元ではニュースにもなりました。昨日顔を合わせていた同級生がお祓いで死んでしまうなんて、女子高生の自分にはショックすぎて。 他の宗教が、そのお祓いとは無関係であることはもちろんわかっています。でも、それ以来、熱心な信仰を持つ人たちが本当に苦手になってしまった。そうした考えがあるところに、叔母が自死しましたでしょう? 私のなかで、カルトは誰も幸せにしてくれない。その気持ちが、年々強まりつづけています」 叔母がカルトに202405信仰で沼る問題は、悩みを抱えたとき頼る先が少ないことなど、社会にも改善すべき部分が多々あるのはあきらかだ。しかし、沼の周囲にいる人たちの悩みは、当事者以上に理解されにくいように思える。 そして当事者は身近な人と距離が生じることで孤立し、さらなる深みへ沼っていくという悪循環に……。「沼の話」は、どれも痛ましい。 <取材・文/山田ノジル>
山田ノジル
自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru
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自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。「女子SPA!」のお問い合わせフォームより、ぜひお気軽にご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
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