ヤバい「巫女養成スクール」生徒を酒席の“接待要員”としてタダで動員。セクハラ被害も
―連載「沼の話を聞いてみた」―
民間資格はピンキリだ。伝統芸能の”お免状”や、専門選考上のために業界団体が作っている資格制度は、比較的信頼できるものが多そうだ。
しかしそうしたものとは別の、手軽な民間資格のなかに質も運営も問題がありそうなものがたくさんある。そしてそれらを選ぶのは、個人の判断にゆだねられているのだが、本当にすべてが自己責任と言えるのだろうか。
今回は、とある民間資格にハマっている女性たちの沼を見ていこう。
「文化の継承という高尚なテーマを掲げながら、装束(しょうぞく)姿で接待をさせられる」――これは、民間のとある「巫女(みこ)養成スクール」での出来事だ。
話をしてくれたのは、50代の石倉絹江さん(仮名)。絹江さんは長年、スピリチュアル業界でたくさんの教え子を抱え、指導を担ってきた。そして業界の横のつながりから、巫女養成スクールの起ち上げに携わったという。
「巫女」といえば一般には、神に奉仕する女性の総称である。神社における奉仕では神楽(かぐら、巫女舞)を舞ったり、神職の補佐的な仕事を行ったり。正月などの繁忙期に「巫女のバイト」をやったという話も、よく耳にする。普通は、そうした業務に巫女として携わるための特別な資格はいらないとされている。
では「養成スクール」とは何なのか?
一般公開されているそのスクールのHPを見ると、仕事に関しては「冠婚葬祭のバイトができる」「寺社の手伝いが受けやすくなる」など、なんとなくあいまいに説明されている印象だ(手伝いが受けやすくなる、とはどういう意味なのか?)。建設業や不動産業であれば、「お祓い」ができるとも書いてある(いわゆる地鎮祭のことだろう)。
なるほど。巫女に資格はいらないとはいえ、知識や技術を身につけておけば、多少は有利になるのかもしれない(そもそもどのくらい競争が激しい世界なのかはまったくわからないが)。また、巫女について学ぶことが教養になると、考える人もいるだろう。
スクールの生徒は、某支部に登録している女性で100人強。金額は初級3万円、中級5万円…と比較的リーズナブルな設定であるが、オプションの存在や祭りの参加費などが別途かかるのかもしれない(一般的な習い事でもよくある設定だ)。
数回の座学と所作実技を経て、証書が授与される。
生徒の年齢層は30~50代が中心であるが、未成年もチラホラ在籍しているという。小ぢんまりとした規模ではあるが、支部がいくつもあるので、少しづつメンバーは増えつつある。
ところが絹江さんの目撃では「講座の内容は質が怪しげ」「風紀的にもヤバい」、さらには「怪しいビジネスとのつながりもある」というから一体どうなっているのか。
資格は特にいらないけど
基本料金は良心的
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