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ヤバい「巫女養成スクール」生徒を酒席の“接待要員”としてタダで動員。セクハラ被害も

とある20代の女性は、絹江さんにこう報告してきた。 「終電を逃す時間まで接待させられて、ふり切るようにタクシーで逃げ帰ってきたんです!」 巫女資格沼202405あいまいな説明で接待させるスクールは言語道断であるが、巫女装束の素人に酒の相手をさせて喜んでいる経営者らがいるという点も、呆れた話である。当然ながらこのタクシー代も、自腹になっている。「やりがい搾取(さくしゅ)」という言葉も、頭に浮かぶ。 筆者も現場の写真を拝見したが、「違法なコンカフェのようだ」という絹江さんの表現がドンピシャだった。薄暗い会員制ラウンジのようなフロアで、巫女装束の女性が接客している。 隣に座って一緒に酒を飲むと風営法に引っかかる気がするが、主催者は、巫女たちもあくまで店の利用客であり「ただの飲み会」だ、と主張するのだろう。接待はスクールの必修や強制ではないが、同調圧力で行かざるを得ない場合もある。

神楽舞に憧れる純粋な気持ちで参加

絹江さんは「自分のせいで」という後悔を抱えている。彼女が巫女養成スクールの起ち上げ期に関わったSNSを見て、「楽しそう!」と参加を決めた教え子が何人もいるからだ。 絹江さんも当然本部へ苦言を呈するが、現在は設立当時とは変わり、絹江さんの言葉に耳を傾けてくれるスタッフがもういないので、暖簾(のれん)に腕押しだという。 とある絹江さんの教え子は、巫女舞(神楽)に憧れてスクールに入った。神楽鈴(かぐらすず)をシャン…シャン…と慣らしながら、優雅に舞うそれはとても神秘的だ。当時はそのスクールのほかに、教わる場が見つからなかったという。

コストダウンの“なんちゃって”神楽舞

スクールに入る前、教え子はうれしそうに語っていた。 「巫女舞をはじめて見たのは、七五三の祈祷(きとう)のときですかね。巫女さんがとても素敵で、自分も踊ってみたいとずっと思っていたんです。それを習うことができるなんて、本当にうれしい!」 巫女資格沼202405神への奉納として舞うそれには種類があり、神社庁が定めるものもあれば、それぞれの神社独自のものもある。しかしいずれも歴史と文化の移り変わりを経て受け継がれてきた、伝統ある舞である。 ところが、スクールで教えている舞は、そうした伝統的な舞とはまったくの別モノだった。 「運営の人脈で、振付師のような人にお友だち価格で作ってもらった、なんちゃって神楽なんですよね。一般的に、伝統的な巫女神楽は、講師に依頼して習うことはできます。でもそれなりの金額がかかりますから……コストダウンのためにスクールが創作したと言えるでしょう」
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海外への発信力もある、と見せかけて…
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