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パリで完璧ともいえる生活をおくる3児の母・杏。「母親が似合わない」印象さえ抱かせる新作での姿

 北國浩二の小説『嘘』を原作とした映画『かくしごと』が2024年6月7日より公開されている。杏が演じるのは、目の前の傷付いた少年を守るため、犯罪をもいとわなくなる「偽りの母」だ。
かくしごと

©2024「かくしごと」製作委員会

 くわしくは後述するが、本人とは正反対ともいえる立場の主人公を演じた杏にとって、本作が新たな代表作となるだろう。それほどまでに素晴らしい演技であり、映画だった。

決意が揺らいだことがありありとわかる表情

かくしごと 主人公は絶縁状態の父が認知症となったため、しぶしぶ田舎へと戻った絵本作家。彼女は事故で記憶を失った少年と出会い、その身体に虐待の痕を見つけたことから、自身が母親だと嘘をつき、一緒に暮らし始める。  彼女の行動は、客観的には誘拐そのもの。その事故を起こした友人からも犯罪だと指摘されるが、主人公はそれも承知の上で少年を「息子」として育てようとする。そして、その決断に至るまでの心理が丁寧に描かれていることと、複雑な感情が表れた杏の表情が、大きな見どころだ。  特に、主人公が少年へ自身がお母さんだと嘘をつき、「おかえり」と抱きしめるシーンでは、物語上では完全に覚悟を決めた上でそう言っているはずだ。しかし、実際の杏の表情からは、「嬉しい」と同時に「これでいいのか」と迷いが残っていることもありありとわかる。他の場面でも「決意できているようでも、しきれていない」葛藤を、杏の細やかな演技から感じてみてほしい。

現実では完璧ともいえる3児の母

かくしごと 現実の杏はフランス在住の3児の母で、多忙であると同時に理想的、いや完璧とさえいえる生活をしていることを、2021年10月20日放送の「TOKIOカケル」(フジテレビ系)にゲスト出演した際に語っていた  杏の一日は朝6時にスタートし、朝の支度や愛犬の散歩を経て、9時頃から仕事をして、子どもの帰宅時間に合わせて16時頃まで仕事を終えて、夕飯とお風呂を経て19時から寝かしつけを開始して、深夜1時までの自由時間でオンライン授業で英語とフランス語を学んでいるのだという。  過去には東出昌大との離婚が報道されたこともあったが、今ではそのことをネガティブに取り沙汰されることはほとんどない。責任を持って3人の子どもを育て、自身の研鑽も続ける杏の姿は、多くの女性や母親にとっての指針やロールモデルにもなっているのだろう。
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それでも、劇中では未熟な母親に見える
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