母の工夫①家族が好きな料理を一つ決めて練習を重ねる
母⇒餃子作りを極めよう!
私たち⇒コツを調べる、練習を重ねる、集中して取り組む姿勢を教わった

家族全員が大好物だった「餃子」。追求した結果、専門店のようなおいしさに。家庭でも練習すればプロ級の味になることを体現してくれました
ひとつ目は、家族が大好きなメニューを徹底的にこだわるということでした。例えば餃子。中身の野菜と肉の比率や水分量、塊肉からたたいて作る工夫、調味料の塩梅、皮の食感や厚さに至るまで、レシピを調べながら何度も試行錯誤を重ねていました。「練習すればうまくなる」という考え方を、好きな食べ物で証明することには大きな説得力がありました。
また母は、大相撲の中継をテレビで見ながら餃子を包むことが多かったのですが、相撲を楽しみながら楽しそうに餃子を黙々と包み続ける姿勢は、「深刻そうな顔をして取り組むことだけが集中ではない」ということを教えてくれました。
母の工夫②自分は苦手でも、子どもが食べたがるメニューを真剣に作る
母⇒おいしいクリームパスタやグラタンを作ろう!
私たち⇒苦手分野にチャレンジする姿勢を見せてもらったと同時に、母への感謝や信頼感が増した

母は乳製品が大の苦手。おいしさがわからない中で、子どもたちに味見を任せながら、おいしいミルク料理をたくさん作ってくれました
そしてもう一つは、自分が苦手とするメニューでどうにか工夫して子どもたちを喜ばせることでした。母は乳製品が大の苦手でしたが、子どもはグラタンやクリームパスタが大好物。自分がほとんど食べられない中で、嫌な顔をすることは一度もなく、子どもたちに味見を任せながら頻繁に食卓に出してくれました。
苦手を克服するためにはどうしたらいいのか? ということを考えさせられるとともに、母に対する無二の信頼や感謝が芽生えたことは、今の親子関係にもつながっています。
母の料理には子育てのヒントがたくさん隠れていました。そしてこのような経験を通して実感するのは、料理には大切なコトを伝えられる力があるということ。記事をご覧になったみなさまにとって少しでもヒントになればうれしく思います。
<文/食文化研究家 スギアカツキ>