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75歳の女性が恋愛沙汰で自殺未遂。熟年が身を焦がす恋と性の狭間とは

75歳の女性が恋愛沙汰で自殺未遂。こんなショッキングなエピソードではじまる『終の快楽』(世界文化社)。ノンフィクション作家、工藤美代子さんが綴る熟年女性達の密なるエッセイです。
最終_終の快楽

『終の快楽 熟年女性はここまで欲しい』 (世界文化社)工藤美代子 (著)

年齢が熟せば色恋も熟す

20代の男女で恋人がいない率が約70%といわれる昨今で、本書に登場する熟年女性は大半がいわゆる“現役”。現役とは恋愛そして性愛に貪欲だという意味。著者の工藤さんご自身も70代、本書の主人公達にそそがれるまなざしは、時にあたたかく、時に悲哀がにじみ出ているのです。 いつしか私達は、年齢を重ねたら落ち着かなければならない、恥ずべき行いはすべきではない、など誰が決めたかもわからない固定観念に縛られています。“恋愛は若い方だけの特権、性愛など、年配の女性が語るなどはしたない”など。はからずも、色ボケなどという辛辣な言葉を投げかけられることも。性の賞味期限など、それこそ誰が決めたのでしょうか。 女性ホルモン ホルモンバランス 花本書を読むと、熟年や年配などというカテゴリー分けすら、鼻で笑いたくなるのです。

コロナ以降、過激に赤裸々になったわけ

工藤さんのもとにはさまざまな人生相談が持ち込まれるそうですが、コロナ以降は毛色が違ってきたといいます。「過激になった。赤裸々になった。かつてない生々しい話になった」つまり「性交が中心」の話ばかり。 これは私も感じていましたが、真面目に慎(つつ)ましく暮らしてきた友人知人がいきなり過激な性行為に走ったり、急に婚外恋愛に踏み切ったり、意外性を見せるようになったのです。 コロナ マスクコロナが私達に心に落とした闇は、いつ死んでもおかしくない、という覚悟ではないでしょうか。ゆえに、いつ死んでもいいように、後悔をひとつずつ潰していく。意外性とは本音の裏返しで、後悔の対極にあるのが未知への快楽かもしれないのです。
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75歳女性、10歳下の既婚男性との出会い
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