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75歳の女性が恋愛沙汰で自殺未遂。熟年が身を焦がす恋と性の狭間とは

75歳女性、10歳下の既婚男性との出会い

熟年の自殺や自殺未遂は、時折ニュースでも報道されます。不謹慎を承知でいえば、今さらなぜ寿命を待たずに死を選ぶのだろうと、問いたくなってしまいます。恋に破れたから自殺しようとした、という理由だとしたら、あなたはどう思いますか。
熟年夫婦

イメージです(以下、同じ)

本書に登場するサヨ子さん(仮名)は75歳。夫は3年前に他界、子供はいませんが、十分な遺産のおかげで、生活に不自由はありません。 夫が亡くなって1年後に、サヨ子さんに恋人ができました。10歳年下の既婚者です。75歳と65歳の大人の恋愛。色褪(あ)せた日常からほんの少しの冒険を求めて、ささやかな交際をしているのだろうと、周囲はあえて干渉しなかったそうです。 やがてお相手の奥様に関係がバレてしまい、別れがおとずれます。そこでサヨ子さんは自殺を図るのですが、これがなんと狂言自殺。とはいえ、動機はお相手への激しい恋情とくれば、同情の余地はあまりあるほど。滑稽(こっけい)ながらも純粋な生きざま、と感じ入るのですが…。

性愛に投影する命のきらめき

ところが、サヨ子さんが求めていたのは、恋愛よりも性愛、もっといえば己の欲する快楽でした。サヨ子さんの姉がサヨ子さんの部屋で発見したのは、派手で卑猥な下着の数々。通常のショップでは販売していない、マニア向けの下着です。 ランジェリー恋愛も性愛も、性行為への探求も、人それぞれで、法にふれないかぎり誰にも咎(とが)める資格はないでしょう。70代だろうが80代だろうが、「そんな風に見えなかった」という外野の声などなんのその、自己責任で堪能していいはずです。 が、狂言とはいえ自殺未遂にまで発展、となると脅威です。 同時に、そこまで貪欲になれるサヨ子さんに感動すら覚えます。お相手との相性が最高によかったのか、性交への可能性をもっと深めてみたかったのか、疑問ではありますが、サヨ子さんもまさに、いつ死んでもいい、と性と生命をまっとうしたかったのではないでしょうか。
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羞恥とはいったい何なのか
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