男女ペアが“恋に落ちる”ドラマはもう古い?『クジャク』『東京サラダボウル』が恋愛要素なしで大人気のワケ
この冬クール、事件が絡む“男女バディ”のドラマがなんと5作品もあります。うち3作品が、リーガル系ドラマをはじめ弁護士がバディを組む内容です。
もちろん男女バディ×事件モノのドラマは決して珍しくはありません。しかし、この冬クールのラインナップを観ていると、描き方に“時代の変化”が訪れたように感じます。
どんなジャンルでも常に“恋愛要素”を盛り込む時代は終わったのかもしれません。
今クールで注目すべきは“男女バディ”がとにかく多数登場していること。
弁護士が男女バディを組んでいる3作品が、『法廷のドラゴン』上白石萌音×高杉真宙、『アンサンブル』川口春奈×松村北斗、『クジャクのダンス、誰が見た?』広瀬すず(彼女は事件関係者)×松山ケンイチ。
他にも刑事×通訳者の『東京サラダボウル』奈緒×松田龍平、探偵×不動産会社社員の『問題物件』上川隆也×内田理央も男女バディの作品として放送中です。
過去のドラマでも、『トリック』仲間由紀恵×阿部寛、『ガリレオ』福山雅治×柴咲コウ・吉高由里子、『SPEC』戸田恵梨香×加瀬亮、『リーガル・ハイ』堺雅人×新垣結衣などなど、数多くの男女バディ×事件モノドラマが制作され大ヒット。
続編や映画化された作品が多く並びます。男女バディは、事件を解決するために必要な能力や長所(ときに短所)、そして役割を分担しやすいという面でも描きやすいのかもしれません。
タイプの違う視点で事件を見つめたり、違う意見をぶつけ合ったりすることで、事件や人間をより深く描くこともできるでしょう。
また一昔前は、それ以上に“恋愛要素”を追加しやすいという側面もあったように思います。
“恋愛要素”を感じさせながら大ヒットした男女バディの作品といえば、なんといっても『HERO』ではないでしょうか。
木村拓哉演じる型破りな検察官と、松たか子演じる生真面目な検察事務官(2015年劇場版では検事)が、東京地検城西支部を舞台に数々の事件と向き合うリーガルドラマ(2014年ドラマ、2015年劇場版は北川景子が検察事務官)。
大筋は検察官と検察事務官が反発し合いながらも仲間とともに、担当する事件を解決していきます。
一方で、ふたりが事件を通してお互いの価値観や想い、個性に触れて絆を深めていく描写も。
そして犯人から守ったり、距離がぐっと近づいたり、お互いを男女として意識する“胸キュンシーン”も散りばめられていました。
「くっつきそうで、くっつかない」。
そのもどかしさに、本筋の事件と同じくらいハラハラドキドキしたことを覚えています。
前述した過去の男女バディ作品においても、そういった描写は多かれ少なかれありました。
トレンディドラマの名残なのか、人気俳優同士の胸キュンシーンを求める視聴者が多かったからか。平成当時、“恋愛要素”は男女バディにおいて必須だったのかもしれません。

画像:TBSテレビ『クジャクのダンス、誰が見た?』公式サイトより