しかし、令和に放送されたある男女バディのリーガルドラマによって、“恋愛要素”はなくても作品は面白いことが証明されます。
それは、ドラマ『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』の石羽コンビです。

画像:TBSテレビ「金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』」公式サイトより
有村架純×中村倫也のW主演ということで、観る前から「くっつきそうで、くっつかない」いつものパターン! と筆者は決めつけてしまっていました。
しかし、そんな展開はありません。凝り固まっていた自分の価値観を、一気にアップデートされた気分。その描き方こそが現実的だと感じました。
もちろん仕事で協力しあった男女が恋に落ちることはあるでしょう。
ただ現実では大半の場合、仕事仲間としてのリスペクトはあっても恋愛感情に発展するケースは稀なように思います。
実際、石羽コンビもお互いを理解しあったり、尊重したり、優しくしたり、守ったりするシーンはありますが、それはあくまで仕事仲間として。
その描き方にはリアリティがあり、多くの共感を呼んだのではないでしょうか。
同じ2022年に放送されたドラマ『ミステリと言う勿(なか)れ』(原作:田村由美氏による同名漫画)で、“恋愛要素”を追加したことが物議を醸したことも、時代を象徴しているかもしれません。

画像:フジテレビ『ミステリと言う勿れ』公式サイトより
菅田将暉演じる主人公に対して、刑事役の伊藤沙莉が恋心を抱いているかのような描写があったのです。そのようなエピソードやふたりの関係性は原作には一切ないことから、「このふたりに恋愛要素は不要」「原作を無視している」「不必要な改悪」といった意見が多くみられました。
確かに! 菅田×伊藤の恋愛シーンが観たい視聴者もいたかもしれませんが、それはぜひ、元から恋愛をテーマにした作品で観たいものです。
男女バディだからといって“恋愛要素”を無理やりにでも入れる時代は、とっくに終焉を迎えたのかもしれません。