唐揚げ専門店が倒産してしまう“決定的理由“。「高級食パンのようにブームが終わったのではない」
食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。
唐揚げブームが終焉。と思いきや、新しい風が吹きはじめています。
唐揚げは戦後から振り返ると2度のブーム(第1次:1967年~、第2次:2009年~)があり、第2次では全国で「唐揚げ専門店」が続々誕生しました。
こだわりの味、ご当地感を売りにした専門店が、自分の街や近所に登場したという方も多いかと思います。その後新型コロナウィルスが落ち着きはじめた頃、“専門店の倒産ラッシュ”が話題に。高級食パンのようにブーム終焉を迎えると思われましたが、2024年に入ってから潮目が変化してきたと言います。
どうやら唐揚げブームが、“定着”というフェーズに移行したようなのです。
私はこの状況について、食トレンドを研究する立場としてもう少し具体的に掘り下げたいと思いました。そしてある結論に至ったのです。それは、「唐揚げ人気に陰りなし、実はレベルがますます上がっている」ということ。そこで今回は、唐揚げ専門店の倒産理由をひも解きながら、唐揚げのリアルトレンドを見ていきたいと思います。
戦後、唐揚げに使われる鶏肉は牛肉よりも高価な時代がありました。その後1960年代からの国内養鶏場の設置・整備を背景に、唐揚げはあこがれの贅沢品から庶民の味に。唐揚げ第1次ブームがはじまりました。
そこから見ていくと、唐揚げはブームという概念でくくられるものではないことに気がつきます。家庭での手作り、ファミレス、スーパー、コンビニ、弁当・おにぎりなどの専門店、冷凍食品……、実にたくさんの選択肢を増やして愛されているではないですか!
唐揚げと同じくらい手頃で親近感があり、購入の選択肢がある料理を探すとなると、同レベルはなかなか見つからないのではないでしょうか。
つまり唐揚げ自体は、ますます盛り上がっている。小規模な唐揚げ専門店が倒産してしまう大きな理由は、おいしくないからではなく、敵が多すぎるからなのです。
そして何よりも、コンビニが大きな脅威になってしまったからと言えるでしょう。ファミリーマートの店頭には大きなのぼりが立ち、ローソンではレジ前に唐揚げアピールの立て札が……今コンビニ各社は主力商品としておいしい唐揚げを開発し、それを大々的に売り出しているのです。