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「2027年大河ドラマ」主演に抜擢された36歳俳優に期待できるワケ。過去作の“ぐうたらキャラ”も

 折り目正しい松坂桃李か、それともぐうたらな松坂桃李か。どちらも彼が演じるキャラクターに対するイメージである。  両極端だが、松坂桃李が演じると、単純な降り幅とは少し違う空気感が醸成される。2027年の大河ドラマ『逆賊の幕臣』主演がすでに発表されているが、これはまたさらなるイメージをねらってくると思う。  男性俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が、2027年大河ドラマを楽しみに、愛すべきぐうたらを演じる松坂桃李の魅力を解説する。

アップデートされた新たな幕末ドラマ

 すべての作品がどうか知らないが、毎年3~4月になると大河ドラマの制作発表がある。この季節になれば、常に2年先まで、2作品分のタイトルと主演俳優についての情報解禁が済んでいることになる。  2026年が仲野太賀主演の『豊臣兄弟!』、2027年が松坂桃李主演の『逆賊の幕臣』だとすでに発表されている。NHK作品初出演、大河ドラマ初主演という異例の大抜擢だった横浜流星の『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(以下、『べらぼう』)を毎週楽しみに見ているというのに、来年、再来年への楽しみが自動更新された気分だ。 『べらぼう』は幕府公認の遊郭である吉原を舞台に、戦国時代や幕末のイメージが強い大河ドラマとして初めて本格的な江戸時代を描く(大河ドラマ第2作『赤穂浪士』(1964年)は、長谷川一夫主演で、『べらぼう』と同じ18世紀の討ち入りを描いた)。今年の天下太平から来年は再度、戦の時代。さらに再来年が幕末……。ただし、これに関しては単なる幕末じゃない。近年の研究によってアップデートされた歴史観に基づく、新たな幕末ドラマなのである。

松坂桃李が演じる「エリート官僚」

『御上先生』(TBS)公式ページより

『御上先生』(TBS)公式ページより

 3月6日に『逆賊の幕臣』の制作発表が行われた。NHKのホームページを見ると、「企画意図」が記載されている。これまでに使い古されてきた幕末観ではなく「日本の近代は既に幕末から始まっていた」と明記している。  日本史に明るくない人でもこの説明文を読めば、本作がアップデートされた幕末ドラマであることくらいはすぐにわかる。では、そうした新しい歴史観の上で、肝心の主人公はどんな人物なのか?  松坂桃李演じる主人公・小栗忠順の略歴がある。1行目に「天才的なエリート官僚」と書いてある。毎週日曜日よる9時から放送されている主演ドラマ『御上先生』(TBS)との単純な職業的類似。同作の松坂は、まさに文部科学省のエリート官僚を演じている。
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コンパクトに整頓された人物像
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