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朝ドラ出演中の37歳女優が“かつてのイメージ”を手放して得たもの。ロングヘアから大胆イメチェンで

イメチェンしたターニングポイント的な作品

 そのイメージについて、ビジュアルの観点からより具体的にいうなら、ヘアスタイルのロングかショートに大きく区分できる。俳優として本格的に活躍する以前の中村は、特にバラエティ番組などで、麗しいロングヘアを画面上でなびかせいた。  中村アンといえば、ロングヘアがトレードマークというパブリックなイメージすら固定化していた。実際、『ラブリラン』でもこのロングヘアが大きな変身要素になっていた。それが大胆にショートヘアに転換したのが、川口春奈と横浜流星が共演したドラマ『着飾る恋には理由があって』(TBS、2021年)からである。  つややかなロマコメ的世界を日本のテレビドラマに導入するオリジナル脚本を書いた金子ありさの手腕により、素敵な同性(女性)友達というキャラクターイメージが、中村が演じた孤高の画家役に込められた。  同作出演からショートヘアにイメチェンしたことは当時大きな話題になり、中村にとってターニングポイント的な作品になった。

朝ドラ初出演、初登場した中村アン

『青島くんはいじわる』(テレビ朝日)公式サイトより

『青島くんはいじわる』(テレビ朝日)公式サイトより

 同作以降、中村は基本的にショートヘア路線を定着させている。にもかかわらず、毎回新鮮な印象を与えるのは、作品ジャンルに対してはフレキシブルに振る舞う、ブランドイメージによるものであることは、上述してきた。  近年の出演作で特に好印象だった王道ラブコメドラマ『青島くんはいじわる』(テレビ朝日、2024年)でもショート寄りのバリエーションが実に風通しがよく感じられた。相手役の渡辺翔太と共有し、醸成する程よくラブリーな空気感は、多幸感にあふれていた。  翻って朝ドラ初出演作『おむすび』では、患者が食べる病院食を「メシ」と言語化するクールで乾いた性格の医師・蒲田令奈役を演じている。これまでの放送期間、常に低視聴率の話題ばかりネットニュースになる同作だが、朝ドラ初出演、第18週第87回から初登場した中村アンを見て、朝のさわやかな空気を久しぶりに吸い込めた気がする。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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