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「仕事と家庭の両立のハードルはそこまで高くない」40歳女優が明かす“理想と現実”

 俳優の臼田あさ美さんが、柚木麻子による小説『早稲女、女、男』を原案に映画化した『早乙女カナコの場合は』に出演しました。橋本愛さん演じる主人公・早乙女カナコが研修先で出会う慶野亜依子役で、理想の上司と周囲は見るも、人知れず理想と現実の間で葛藤する女性です。 臼田あさ美さん 臼田さんは、2003年デビュー後、映画やドラマと活躍中で、私生活でも母親として奮闘していますが、その両立はどのようにしているのか。40代に入って改めて想うことなど、いろいろな話をお聞きしました。

「“女性像の描き方”が面白くなりそうだなと」

『早乙女カナコの場合は』

『早乙女カナコの場合は』©︎2015 柚木麻子/祥伝社 ©︎2025「早乙女カナコの場合は」製作委員会

――女性の生き方や女性同士の関係を描く『早乙女カナコの場合は』ですが、最初どのような印象を持ちましたか? 臼田あさ美(以下、臼田):柚木麻子さんの原作なので女性像の描き方が面白くなりそうだという期待感がありました。さらに、矢崎仁司さんが監督されるということで、わたしの中では意外な組み合わせでした。矢崎さんは『ストロベリーショートケイクス』(2005年)でも女性を描いていますが、今回の原作にはポップなイメージもあったので、その組み合わせに初めは不思議な印象を持ちました。 ――完成版をご覧になっていかがでしたか? 臼田:映画版は原作とは違うので、登場人物も削ぎ落されて少人数になっていますし、その中で群像劇を膨らませているので、小説の印象とはまた違うものになっていました。登場人物が、理想とする自分と異なる現実との間でもどかしく感じていたり、どうしても譲れない芯があったり、その様がとても上手に描かれていると思いました。あと、女の子たちはライバルだけれど認め合う感じも柚木さんの作品の魅力なので、そこがしっかり描かれていると感じ思いました。

どの女性にもある葛藤

臼田あさ美さん――臼田さんが演じた慶野亜依子は、主人公のカナコが研修生の時代から出て来る大人の女性で、人生をしっかりと見据えているつもり、というキャラクターでした。 臼田:慶野亜依子はカナコの就職先の編集者であり、理想の上司でもある。でも亜依子自身は、外側からは分からないヒリヒリ、モヤモヤしたものを内に秘めています。しかし、それは他の誰かではなく自分自身の理想との比較で生きているからなんです。今まで計画的に暮らし、決して欲張ってもこなかった。とても誠実に生きてきた人ですが、思い描いていた未来とは違う現実がある。それでヒリヒリしているんです。 ――観客の共感を呼びそうですよね。 臼田:大人になっても自分が思い描いていた未来、理想像とは違う自分がいる。受け入れるけれど、受け入れられない自分もいて。その葛藤はどの女性にもあるなと思いました。
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いい仕事のために「ちゃんと生き抜くこと」が大切
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【作品情報】
『早乙女カナコの場合は』
3月14日(金)新宿ピカデリーほか全国公開中
(C)2015 柚木麻子/祥伝社 (C)2025「早乙女カナコの場合は」製作委員会
配給:日活/KDDI
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