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「仕事と家庭の両立のハードルはそこまで高くない」40歳女優が明かす“理想と現実”

いい仕事のために「ちゃんと生き抜くこと」が大切

『早乙女カナコの場合は』――ご自身は日々演技の仕事をする上で大切にしていることは何ですか? 臼田:日々を大切に過ごすことがいい仕事につながる職業だと思っています。普通の生活ありきじゃないと、いろいろな人を演じることは難しいと思うんです。どんな生活だとしても、ちゃんと生き抜くことは大切なことなんじゃないでしょうか。 ただ、そういうすべてのことをいつも考えているわけではなくて(笑)。こういう仕事をしていると多感なところはあると思うので、素敵な景色を見た、美味しいものを食べたという経験が、ちょっと残りやすいのかもしれないですよね。それを仕事に活かそうと思って生きてはいないですが、感受性は豊かでありたいですし、豊かであるためには日常を丁寧に暮らし、状態を整えておくことが大事かなと思います。 ――そういう日々を送ろうと思うモチベ―ションは何でしょうか? 臼田:やるしかないんです(笑)。でもひとつ言うと、作品を作るために関わっているみなさんの姿を見る、そこにいなくても想像することは、モチベーションにつながると思います。頑張っている監督さん、照明さんの前で手は抜けないですし、だからそのときにできる精一杯。今日の100点満点を出しましょうと。だから周りにいる人たちが原動力だと思います。 ――感謝の気持ちですね。 臼田:そうですね。反対にもうちょっとできたらなという悔しさ、反骨精神のときもありますが、結局一緒に現場を作っている人たちの刺激は大きいと思います。

仕事と家庭の両立は

臼田あさ美さん――仕事と家庭についてはどう両立を? 臼田:私にとって仕事と家庭の両立のハードルはそこまで高くないのかもしれません。でも、もっと理想はあるんですよ。子どもといろんな場所に出かけたいし、仕事にもたくさん時間を使いたい、家でも仕事に集中したい、準備にあてたい……。それを言っていくとキリがないから、やっぱり両立できていないのかもしれませんね。欲があるから。 ただ、自分のやりたいことが二つもあって、それを二つともやれていることにまずは満足して、ありがたく過ごしております(笑)。 ――理想の状態はあるけれども、現実と折り合いをつけつつ、手を抜かないという考え方ですね。 臼田:そうですね。今できる精一杯なんです。いつもそういう感じです。でも、言い方を変えれば今できる精一杯をやりましたって、言い訳でもあるんですよね。言い訳になりかねないんです。でも、どんな先輩方に聞いても、仕事と家庭の両立なんて完ぺきにはできていないとおっしゃる。こんなにも素晴らしいお芝居をしている先輩でさえそういうことを言うのかと思って、わたしも今の精一杯でいいと思うようにしています。 ――最後にうかがいますが、この先何か目標や成し遂げたいことはありますか? 臼田:「40代か」と改めて思うこともありますが、今までも年齢やタイミングで何かが変わったということはあまりなくて、なるようになるかなと(笑)。グラフで例えるとありがたいことに緩やかに来られました。なので、その調子でこれからもやれたらと思うのですが、いろいろなことをやらせてもらっていくなかで、自分の予期せぬことが多少起っても面白いかなと思っています。 たとえば信じられないような役をやってみるとか、そういうことも今なら楽しめるかなと。40歳になり、刺激がちょっとあっていいかも、という気持ちにはなってきました(笑)。 <取材・文/トキタタカシ 撮影/吉開健太>
トキタタカシ
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
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【作品情報】
『早乙女カナコの場合は』
3月14日(金)新宿ピカデリーほか全国公開中
(C)2015 柚木麻子/祥伝社 (C)2025「早乙女カナコの場合は」製作委員会
配給:日活/KDDI
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