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『進撃の巨人』、大人もハマる“深いメッセージ”

『進撃の巨人』11巻 特装版(講談社)

『進撃の巨人』11巻 特装版(講談社)

 2009年の連載スタート以来、累計発行部数2300万部を超え、まさに快進撃をつづけている漫画『進撃の巨人』(諫山創著、『別冊少年マガジン』2009年10月号~現在も連載中)。10代の若者のみならず、ちょっと大人な20代~30代の人々も『進撃の巨人』にハマっているらしいんです……!(筆者もその一人)  そもそもどんなストーリーなの? という『女子SPA!』読者のために、ちょっとストーリーをご紹介。 <あらすじ>  人間を捕食する謎の生命体「巨人」の出現により、人類は衰退。生き残ったわずかな人類は三つの巨大な壁を築き、巨人の侵攻を食い止め、壁の中で平和な生活を獲得した。しかし、そんな人類の前に50メートルを越える超大型巨人が出現。壁を破壊されたことで人類は再び巨人の恐怖を思い知らされたのだ。壁の中での100年の倦怠が終わりを告げ、物語がはじまる。“巨人”という強大な敵に立ち向う人類の戦いを描いたバトルファンタジー。  2011年に『このマンガがすごい!2011』のオトコ編の第1位に選ばれ、注目を浴びたのは記憶に新しいところです。そして、2年が経った2013年4月にアニメ『進撃の巨人』がスタートし、絶好調な様子。  余談ですが、今年の夏に開催された、日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット」(通称:夏コミ)では、運営スタッフが『進撃の巨人』の登場人物のコスプレで会場を整備していたことでも話題になりました。

巨人はトラウマ級の気持ち悪さ

 そんな一大ムーブメントを起こしている『進撃の巨人』。若者から大人まで夢中になってしまう理由とはどこにあるのか。まさに今ハマっている方に聞きました。 「読み始めたときは、敵と人間の力の差がありすぎるにもかかわらず、魔法とか召喚とか人知を超えた能力を使わずに戦っていたのが印象的で、どっぷりハマりましたね。第1巻を読んだときは、ただただ人間が弱かったんです。今は人間側の設定もかなり変わってきてますけど(笑)」(M・O/24歳女性/アパレル)  巨人を前にした人間の無力さや、圧倒的な絶望を感じるのが、このマンガの特徴。登場する「巨人」たちは、5メートル級、7メートル級、15メートル級……と、細かく分けられ、二本足で歩き、顔がひとつ。人間と似ているのにいびつな体型、頭は空っぽで、とにかく気持ち悪いんですよね。筆者も第1巻の読後感は、ちょっとしたトラウマものでした。
進撃の巨人

『進撃の巨人』公式サイトより

「主人公は絶対勝つ! 正義は勝つ! みたいな安心感が『進撃の巨人』にはないような気がします。11巻まで読んだんですけど、人間と巨人のどっちが正義なのかもわからなくなってきたし。そもそも正義って何なんですか? でも、先が見えないところもいいんですよ!」(N・K/28歳女性/営業)  なんだか深い話になってきました……。「もしかして、主人公死んじゃうんじゃないの!?」と、本気で不安になってしまうのもこのマンガならでは。追い詰められる描写が多くて、ハラハラしっぱなしです。予定調和があまりないところも、新鮮なのかも。 「私は、今の日本を表してるような気がするんです。閉塞した現代社会は、まさに壁そのものじゃないですか!」(F・M/35歳女性/美容師)  なるほど、そういう見方もあるんですね! ひとつの作品からさまざまな考察をしていくのは、それだけで楽しいものです。 『進撃の巨人』にはさまざまな伏線が散りばめられ、読み進めるほどに謎が深まっていきます。ネット上では、結末を予想する人も大量発生しているようです。巨人に恐怖するもよし、結末を予想して裏切られるもよし。大人たちが『進撃の巨人』にハマる理由は、バラエティに富んだ楽しみ方ができる点なのかもしれません。 <TEXT/大貫未来(清談社)>
大貫未来(清談社)
ライター(25)。女性向けウェブサイト、男性誌などで執筆。『女子SPA!』では、マンガやアニメな内容の記事を書きがち。写真は尊敬する夏目漱石先生を意識しました。
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