水嶋ヒロ主演『黒執事』 キャストの“怪しさ”のナゾ
シリーズ累計部数1800万部を突破する枢やなさんの大ヒット漫画を原作とした映画『黒執事』が18日から公開になりました。
水嶋ヒロさんの俳優本格復帰第一作としても話題のこの作品、「当初は出演を拒否していた水嶋ヒロをプロデューサーが一年半に亘り説得した」というエピソードからもわかるように、関係者の映画に対する熱意が大きい作品です。
ですが、根強い原作ファンからの実写化に対する意見は賛否両論、原作とは異なる大胆なオリジナル設定・ストーリーの変更に不安視する声も上がっているのも事実。
映画予告を見た原作未読者からも「水嶋ヒロはやっぱりイケメンだな」という声がある一方で、「なんか怖い……」「水嶋ヒロの健康が(痩せすぎで)心配になる」と、ただならぬ“怪しさ”を感じた人が多い様子。
水嶋さん以外にも男装で眼帯姿の剛力彩芽さんや謎の葬儀屋・ジェイを演じる栗原類さんら、キャストの面々が独特の雰囲気を醸し出してることも一因なのでしょう。
ですが、実はこの “怪しさ”、意図的にキャストやスタッフによって作られたものらしいのです。
「不気味に見えた、というのはある意味、成功だと言えます。水嶋ヒロさんのイメージからさわやかな役柄を期待した人が多かったのかもしれませんが、今回水嶋さんの演じる役・セバスチャンは“悪魔”という設定で、ストーリーも『連続ミイラ化怪死事件』を題材にしたファンタジックミステリー。世界感に引き込めたという点で狙い通りかもしれません」(業界関係者)
実際に本日発売された『映画「黒執事」VISUAL BOOK』(スクウェア・エニックス刊)のなかでプロデューサー・松橋真三氏は「すべてのキャストが、見事に意味ありげに、とても怪しい存在として演じきってくれたと思います」と答えています。
その“狙い”の秘密とはいったいどんなものなのでしょうか? 引き続き、『映画「黒執事」VISUAL BOOK』掲載されている松橋氏のインタビュー(本書P082~P085)から探ってみました。
松橋氏は「『黒執事』の魅力を実写化するにあたっては、すでにいくつものハードルがあることは見えていました」と当初からあったというその苦労を語っています。
「海外の同業者から“原作権はどうなってる?”とたびたび聞かれるのが『ONE PEACE』(集英社刊)と『NARUTO』(集英社刊)。そしてこの『黒執事』でした。この3作品は世界的に強く興味を持たれているんです。原作コミックが人気であればあるほどとても実写化は難しい」と、批判の声が上がることも覚悟の上だった様子。
特に、「最大の課題としては、原作でもカリスマ的人気を誇る主人公の“セバスチャン”の実写化でした」とのこと。
日本人どころか人間でもない、悪魔という特殊な役どころ。そんな役を演じる水嶋さんとスタッフは打ち合わせを重ねていき、“水嶋ヒロのセバスチャン”が誕生することに。
最初は出演を断っていた彼も徐々に制作スタッフのひとりとしてのめり込んでいき、『人間らしく見せない』ための役作りに励んだとか。
そういえば、原作のイメージに近づけるために“体重を50キロまで落とした”と話題になったことも記憶に新しいところです。
さらに松橋氏からは「悪魔的な存在であるために、彼(水嶋)は劇中で“まばたき”をしなかった。気付いた人はどれくらいいたかな」というネタバラシも!
筆者も気づきませんでした。映画を観終わったあと、友人と「水嶋ヒロは漫画世界から抜け出してきた人みたいだったね」なんて話していたのですが、これらの仕掛けにまんまとハメられたのかもしれません……。
『映画「黒執事」VISUAL BOOK』は、劇中スチールにくわえて、水嶋ヒロらキャストの撮り下ろし写真とともにインタビューが掲載。それぞれのこだわりが語られています。
そんな映画ならではの“セバスチャン”たちが観られるこの作品、はたしてどう仕上がっているのか、原作派の人も確かめてみては? <TEXT/志賀むつみ>
まばたき回数ゼロ! “生身の人間”に見せない仕掛け
志賀むつみ
フリーランス編集者・ライター。コミック系出版社の編集を経てフリーに。現在はWEBメディアを中心に女性向けライフスタイルやエンタメなど幅広いジャンルで活動中。「動物愛護社会化検定 基礎級」取得
|
『映画「黒執事」VISUAL BOOK 』 劇中写真+オフショットを収録した公式ビジュアル写真集。 ![]() |