過食しては吐き、美容に月15万…「醜いあたしに戻りたくない」
バツイチ風俗嬢の藤村綾です。どんな業種でも社会では美人が得をします。女に生まれてきた以上、「美人だね」「綺麗だね」と言われたいのが本音。
風俗嬢、特にデリヘル嬢はあまりお綺麗でなく、若くなくてもできてしまうお仕事ですが、やはり綺麗な風俗嬢に人気が集中するに決まっています。そんななか、人気ナンバー1で綺麗なのに、容姿にコンプレックを抱く風俗嬢・れいな(仮名・28歳)の闇を書いていきたいと思います。
「れいなさん、今日もお綺麗ですね」
スタッフの森くんと、ドライバーの山口さんが、出勤したばかりのあたしに言った。
「やだぁ、あたりまえじゃん!」
あたしはすでに謙遜などはしない。本当に綺麗だからだ。
身長156センチ、体重39キロ。色白で丸顔。目はパチリとした二重で、鼻梁が整っていて、唇はぽってりと分厚い。カラコンのおかげで茶色っぽい目はいつも潤んでいる。
鏡を見て笑顔の研究を重ねる。肌のお手入れは手を抜かない。プラセンタ注射は週1、美容皮膚科で処方されるトランサミンは毎食後飲んでいる。髪の毛は茶色のさらさらなストレートで、2週間に1度美容院でトリートメントとヘッドスパをしている。ネイルは5日に1度。
手先から足先までのメンテナンスだけで月に15万は軽くかかる。けれど、その分指名で稼げばいい。
「えっと、すでに指名で満員御礼だけれどいい?」
森くんに言われ、「あ、はい」と、うなずいた。
出勤の時点で、もう満員御礼……。最近毎日こんな感じで新規のお客さんがつかない。常連さんはありがたい。けれど、うかうかしていたら他の嬢に追い抜かれそうだ。
男は常に新しいものを求める。若い子が入ればそっちに行ってしまう。あたしはこう見えても、アラサーだ。
午後3時に出勤し、深夜0時までひっきりなしにお客さんがついた。みんながあたしを綺麗と褒めちぎり、撫でまわす。悪い気はしないけど、好きでもない男におべっかを言われても全くなびかない。愛想笑いを浮かべてヘラヘラしていればその時間は終わる。
もしこの顔でなかったら、この体型でなかったら、とふと考える。お店に、あたしと同じ身長だけれど、体重が倍くらいある嬢がいる。
名前は『まり』。
「まりみたいに丸いから、まりになったのよ」
と、ケラケラと笑いながら言っていた。まりちゃんは、その太さでも人気はある。お茶を引いたこと(お客が一人もいないこと)はないそうだ。顔も決して綺麗な方ではない。
「なぜ?」
あたしは努力に努力を重ねているのに、まりちゃんはそうでもないようで、とても自然なのだ。ぽっちゃりでも若ければ許されるのだ。
あたしはその実、今のお店に入るまえはデブ専のデリヘル嬢だった。まりちゃんよりも太っていた。ひどく醜かった。鏡を見るのも嫌だった。
顔立ちが良かったのでお客さんはそれなりについた。けれど、虚しかった。お肉(お腹)に顔を埋めるお客さんを殺したいとも思った。あたしは決意をした。ここから抜け出そうと、痩せようと決意をしたのだ。
カロリーメイト1本とお水だけという生活を1週間だけしてみた。あっという間に5キロも痩せた。
「なんだ、簡単に痩せられる」
あたしはますますエスカレートし、とうとう豆腐1口とお水だけにした。10キロほど痩せたあたりで店長に言われた。
「どこか悪いんやないか? 顔色が悪いな」と。デブだと10キロくらい痩せても、顔色が悪いとは言われるが、「痩せたね」とはあまり言われない。そして、ここまでが限界だった。
頭の中が食べ物のことで埋め尽くされていた。頭に糖分がいってないので思考があやふやになっていた。身体が飢餓状態になっていて髪の毛がパサパサになっていた。
月15万かけてニセの美貌を手に入れる――れいな・28歳の場合

体重が80kgあってデブ専で働いてた

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