
写真はイメージです
一方で女性起因の場合ですが。
山中先生「女性が妊娠に適している年齢、生物学的には20歳前後、一般的にも28~32歳くらいと言われています。ですので、今患者さんで多い40代の女性たちの不妊の要因としては、やはり老化による女性機能の低下が多いですね。
今の30代後半から40代の女性は、健康的な生活を意識されたり、見た目も若い方がたくさんいらっしゃいます。それでも、ほとんどの方が50歳前後には閉経することを考えますと、妊娠には必ずタイムリミットがあるといえますね。
後は若い頃にかかった性病が原因になることもあります。性病のひとつのクラミジアは、子宮や卵管に炎症を起こす可能性があります。軽い炎症でしたらお薬を飲むだけで治りますが、強い炎症を起こしてしまうと、時に数日入院して、抗生物質の点滴を行なうなどしっかりした治療が必要になります」

えっ……若かりし頃の過ちが不妊の要因だった! なんて怖いですね。その時に性病をちゃんと治しても後遺症が残ってしまうことがあるんですか?
山中先生「何度も感染を繰り返したり、一度であっても強い炎症を起こしてしまうと、卵管の周りに癒着が起きて、卵管が詰まってしまうことがあります。卵管の詰まりは、通常自覚症状はありませんので、いざ妊娠を考えたときに、なかなか妊娠しなくて、その時に卵管の検査をして初めて詰まっていることが分かることが多いですね」

山中先生「あと、最近は卵子の老化のことがよく話題になりますが、婦人科系の病気のことも気をつけておかないといけないですね。特に症状がなくても、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気にかかっていることはあります。それが40歳前後になって、深刻な状態になっている方もいらっしゃいます。
妊娠をするためには、子宮、卵巣、卵管のすべてが正常に働いていることが大切です。ですので、これから妊娠を考えられている方は、ちゃんと婦人科健診を受けて、もし何か問題があった場合は、どのように対応していくのがよいのか、早め早めにに考えていく必要がありますね」
なるほど、他人事ではないと本当によく分かりました。
今までケチってましたが、次回の健康診断から、要追加料金でも細部までよく診てくれる婦人検診にグレードアップしようと決意した筆者でした。
次回は最後の話にも出てきた、卵子の老化・トレンド化しつつある(!?)卵子凍結の実情に迫ってみます。
―産婦人科医インタビュー vol.1―
【取材協力】
山中 智哉・・・医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医
現在、『六本木レディースクリニック』にて、体外受精を中心とした不妊治療を専門に診療を行なっている。
https://www.sbc-ladies.com/
<TEXT/ミフル>
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