●連載「ファッション誌が答えてくれない相談」41　by小林直子● カゴバッグは夏だけのものですか？ブーツを夏に履いてはいけないですか？ 　私たちは通常、カゴバッグは夏のもの、ブーツは冬のものなど、あるアイテムを使う季節は限定されていると考えます。 　でも、いかにも夏だけ・冬だけしか使えないと思えるアイテムも、誰か影響力のある人（今風の言い方だとインフルエンサー）が「違う季節も使っていい！」と宣言して、それを周りが「おしゃれだ、かっこいい」と受け入れたら、違う季節に使ってもいい、ということになります。 　そんなことがしょっちゅう起こるのがファッションの世界です。そのため、場合によっては冬のカゴバッグも、夏のブーツもOKとなります。 　冬なのにカゴバッグを持って、それをかっこいいと周囲に思わせたのはジェーン・バーキンです。ジェーン・バーキンはカゴバッグを半袖Tシャツとジーンズにも、ウールのロングコートにも合わせています。 　実際にジェーンのそういう写真があります。それを見た多くの人は、おしゃれだ、かっこいいと認め、それ以来、カゴバッグは冬に持ってもいいものとなりました。 　ただしジェーン・バーキンが持っていたのは籐（ラタン）で編んだもので、ラフィア（ヤシからとった繊維）、ストロー（麦わら）などではありません。よって、冬でも持っていい、むしろそれはおしゃれだと認められているのは、今のところ籐のカゴバッグです。 　籐以外だと、ニットやフェイクファーで装飾されているものは冬に持っても大丈夫なカゴバッグです。 　次にブーツです。ブーツはここ最近ですが、サマーブーツなるものがコレクションに多く出現して、夏に履いてもいいものとなりました。 　ただしこれも、真冬用のブーツをそのまま履けばいいというわけではなく、夏に履いてもいいのは、夏らしい色やメッシュなどの素材、またトウやかかとがオープンなデザインなど限定的なものです。ですから、スエードのブーツは夏用ではないのです。 　では、スエードの靴は夏に履いてはいけないかというと、そんなことはなく、スエードのサンダルは夏に履いてもいいのです。ここら辺がややこしいのですが、そういうことになっています。 　けれども実際、日本のような高温多湿で台風が来るような地域では、真夏のブーツは結構きついものがあります。履くのはあくまでおしゃれのためで、実用のためではないでしょう。