温泉で感染も!おりものシートに注意!膣トラブルになる菌の話
「性病にかかったことがきっかけで浮気がばれた」…なんて話はよく聞きますが、性的行為の有無に関係なく、かかってしまう病気があることをご存じでしょうか。
疲れやストレスで免疫力が落ちているとき、また、なんと温泉やプールなどの施設でたまたま座った椅子からかかってしまうものもあるのだとか。
そんな、知っているようで知らない「膣(ちつ)」の病気について、ジュノ・ヴェスタクリニック八田の産婦人科医・八田真理子先生にお聞きしました。八田先生は、近著『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』で、膣周りの基礎知識と膣ケアの大切さを提唱しています。
「膣カンジダ症の原因となるカンジダ菌は、カビの一種で、誰の体にもいる常在菌です。女性の5人に1人がかかるといわれる、とてもポピュラーな病気です」(八田先生、以下同じ)。
腸内フローラという言葉はよく聞きますが、実は膣の中にもたくさんの細菌達が棲みついており、膣内フローラが形成されているのだそう。
「膣内は、乳酸菌の一種である、デーデルライン桿菌(かんきん)という善玉菌が守ってくれています。カンジダ菌は、膣内環境が良い状態のときはおとなしく、体に害を与えることはありません。
しかし、疲れやストレスなどによる免疫力の低下、妊娠などによる女性ホルモンの変化、抗生物質の服用、膣の洗いすぎなどによって膣内フローラのバランスが崩れると、カンジダ菌が膣内で異常増殖し、膣カンジダ症を発症してしまうのです」
膣カンジダ症にかかると、外陰部と膣の強いかゆみ、ヨーグルトやカッテージチーズのような白濁した多量のおりものなどの症状が現れます。
また、特筆すべきは高い再発率。バイエル薬品の調査によると、膣カンジダ症にかかってしまった人の約4割が、1年以内に再発を経験しているといいます。
「カンジダ菌は、日和見菌(悪玉でも善玉でもない細菌)であるため、体調や免疫力が回復し、膣内環境が改善すると、数日~1週間程度で自然に治るケースもよくあります。しかし、菌自体は膣内に常在しているので、何らかの原因で体調を崩すと、また再発してしまう可能性があります」
かゆみやおりものの変化などで何かおかしいな…と思っても、しばらくすると症状が治まるため婦人科を受診せず、再発を繰り返してしまうケースが多いといいます。再発時には、ドラッグストアなどで手に入る再発治療薬もありますが、初めての場合は、自分で判断せず、婦人科で診察を受けてしっかり治すことが大切です。
膣カンジダ症ほどではありませんが、かかる人が多いのが膣トリコモナス症。悪臭を伴う黄色っぽいおりものや、陰部のかゆみを引き起こす感染症で、おもな感染ルートは性行為です。
でも、体力・免疫力が低下して膣内環境のバランスが崩れてしまっていると、温泉や銭湯、プールなどの施設でタオルや椅子などを介して感染してしまうことがあります。
「私のクリニックの患者さんでも、スーパー銭湯で膣トリコモナス症に罹ってしまった方がいました。旦那さんとは長らくセックスレスだったため、かゆみの原因がまさか性感染症のはずがないと思っていたようです」
もちろん、すべての公衆浴場でこのような感染が起きるわけではありませんが、自分の体調や施設の設備など、さまざまな要因が重なることで、病気に罹ってしまう可能性はあります。

女性の5人に1人が経験者!「膣カンジダ症」

温泉でも感染(うつ)る!?「膣トリコモナス症」

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