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話せない息子についた診断名に手が震えた。表出性言語障害って何?<発達障害のリアル>

ぽんちゃんはおしゃべりができない Vol.9】  小学生5年生の娘と小学2年生の息子を持つシングルマザーの筆者が、発達障がいの息子・ぽんちゃんとのドタバタな日々を綴ります。 前回のあらすじ> 療育センターに共に通う親子の母親に、ぽんちゃんが普通の保育園に通っていることを驚かれた。ハンデがある子を受け入れない保育園や幼稚園もあることを、筆者はその時初めて知ったのだった。

“発達障害”という言葉がリアルになった、ある出会い

 長女のみーちゃんを出産した頃から、世間で“発達障害”という言葉をよく聞くようになった。でも、長女はその言葉に引っかかることなく、すくすくと育ち、少しおしゃまに、クールな女の子として問題なく成長した。  だからこそ、私には、発達障害は聞いたことのある言葉だけど、私にはあまり関係のないことだと、正直なところ、思っていた。  でもある出会いを機にその言葉がとてもリアルで近しいものとなった。それは、同じマンションに住んでいたみーちゃんの一つ上のお友達、レイくんとの出会いである。
※写真はイメージです

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 レイくんは、おめめが大きくて、とっても愛らしい男の子。少しシャイで、あまり近づいてくることはないけれど、クールなみーちゃんとは気が合うらしく、よくふたりで遊んでいた。  その子は、電車がとても大好きで、3歳ですでに駅名をたくさん覚え、暗唱している。すでに文字も書けていて、難しい漢字もお手の物だ。  そして、くるくるとまわる天井にかかっている送風機を、じっと見つめている。きっと、この行動で、ピンと来る人はいるだろう。その子は、知的障害を伴わない、軽度の自閉症だったのだ。

レイくんのママがたどり着いた結論

 レイくんのママによると、彼が最初に自閉症の疑いがあると言われたのは2歳だという。その時は、泣いて、泣いて、死ぬことまで考えたと笑って言ったのだ。  どうしてこのママは、ここで笑えるんだろう。 どうしてこのママは、ここで笑えるんだろう まだ障害のある子供を持っていなかった私は、どう答えていいかわからなかった。当たり前だ。「わかる」なんて絶対に言えない。でもそのママは、とてもバイタリティがあって、すべてをポジティブに考える素敵な人。彼女は、自閉症だと判断された後、あらゆる本を読み漁り、とある結論にたどり着いた。 「仕方ない」だ。  文字にしたら4文字、声に出したら5文字の「仕方ない」。ここに至るまで、彼女がどれだけ悩んだのか、私にはわからない。でも、彼女は「仕方ない。もう自閉症なんだもん!」と開き直り、それならと彼女はレイくんに合うことは全部してやろうとスイッチを切り替えたのだ。  それからの彼女の行動は、すさまじかった。地域に自閉症のサークルを作り、交流会をし、マクラーレンのベビーカーのタイヤがすり減ってなくなるくらい様々な場所に息子を連れて回ったのだ。  電車が見たいと言えば路線をまわり、イベントがあれば連れていき、様々な経験をさせること、そして、その子が喜ぶことを見つけに行っていたように見えた。だからこそ、レイくんのママはとにかく忙しくて、楽しそうだった。  このママ友がいたからこそ、私は、“発達障害”という言葉が、そこまでマイナスに感じていなかった。とはいえ、自分に降りかかるとは思ってもいなかった。だからこそ、病院で診断名がついたときは、心臓が飛び出るかのようなドキドキを味わった。
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ぽんちゃんに診断名がついた
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