発達障害の子をもつ親が一番言われたくない言葉
【ぽんちゃんはおしゃべりができない Vol.11】
小学生5年生の娘と小学2年生の息子を持つシングルマザーの筆者が、発達障がいの息子・ぽんちゃんとのドタバタな日々を綴ります。
<前回のあらすじ>
発達障害と診断された5歳のぽんちゃん。自閉症のレイ君のママに相談したら、「よし、逆手にとろうか」と言われ、「愛の手帳」の存在を教えてもらった。
ぽんちゃんにコミュニケーション障害のひとつである「表出性言語障害」という障害名がついてから、「仕方ない」「でも……」という言葉が頭の中で行ったり来たりする日々が続いた。
ぽんちゃんはもう他の子とは違う、ということは医学的にわかっている。それならただ、ぽんちゃんを愛して育てればいいのだ。そう頭の中ではわかっていても、毎日ちょっとずつ、道路の段差のように、なんでもないようなことが心につっかかってしまう。
それは本当に少しのこと。例えば、「おはよう」と声をかけても、ニコッとするだけで言葉が返ってこない。「ご飯食べる?」と聞いても、全く違うところを見て、物を投げて遊び始めたりする。ぽんちゃんに知的な遅れがあることはこの時まだ明確に診断されていなかったけれど、薄々気づいていた。
さらに、5歳も終わりに近づいているのに、おむつがとれる予感がしない。それどころか、脱いだおむつを剛速球で私に投げてくる。思わず、いい肩持ってるじゃねぇか、と心の中でつぶやいてしまった。おむつを脱いで投げられるなら、トイレでしてくれよ……。
「……もう、これ以上のオプションはいりません!」
そう大声で叫びたいけど、ぽんちゃんが次から次へといろんな“オプション”をつけていくもんだから、もう受け入れるしかない。
ここまでくると、私の器の大きさが試されている。いかに自分の理想の子育てを押し付けないか、が重要になってくる。むちゃくちゃにかわいくて、老眼の近所のおばあちゃんだけに「松潤にそっくりよねぇ」と言われるぽんちゃんは、私よりすらりと大きくなって、モデルスタイルで原宿に行った際にスカウトされて、イケメンの宝庫である芸能事務所、スターダストあたりからデビューするんじゃないかって生まれた時は思っていたけど、そうはいかない。
娘のみーちゃんに、「ぽんちゃんは売れっ子モデルになって私が子育て本を出すはずだったのに~!」と泣きつくと、「それ、ぽんちゃんがしゃべることができてもむりでしょ」と真顔で返してくる。ぐうの音も出ない。こういうときは、本当に冷静なみーちゃんが私の暴走を止めてくれるので、とても頼りにしている。
そんな思考の行ったり来たりを続けていると、どうしても情緒が不安定になってきてしまう。そこに追い打ちをかけてくるのが、決まって私の母親、ぽんちゃんのばぁばだ。
「仕方ない」「でも」を行ったり来たり
売れっ子モデルになるはずだったのに…暴走する妄想

1
2