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禁煙店が増えるなか「加熱式たばこOK」なお店の考えとは?オーナーに聞いてみた

 2020年のオリンピックに向けて受動喫煙対策が進められていますが、飲食店の対応はさまざま。完全禁煙にする店もあれば、エリア分煙を進める店もあります。そして最近、増えているのが「加熱式たばこOK」の店です。
禁煙

完全禁煙のお店も増えている

 規制の流れがある一方、お客さんの多様な要望もあって悩んでいるお店も多いでしょうが、「加熱式たばこならOK」という選択をした理由は何なのでしょう? 飲食店のオーナーに聞いてみました。

なぜ完全禁煙にしなかったの?オーナーに聞いた

 訪れたのは、東京の東急目黒線西小山駅から歩いて4分、商店街の一角にある中華料理の店「coQere(コクエレ)」です。
コクエレ

西小山商店街にあるコクエレ

 提供しているのは、四川料理をベースに山椒の魅力を最大限に引き出した独創的なお料理。そして、あえてクセのある日本酒。その独特なマリアージュにハマる人は多く、カウンター8席、テーブル3卓6席という店内は連日賑わいを見せています。 コクエレ中 オーナーの柘植和志さんに話を伺うと、「コクエレ」のオープンは2012年11月。当初は全面喫煙OKでしたが、2年前から「紙巻たばこは禁煙、加熱式たばこのみOK」に変更したそう。加熱式たばことは、具体的にはPloom TECH(プルーム・テック)、IQOS(アイコス)、glo(グロー)を指します。  同店が紙巻たばこNGにしたきっかけは、お客さんからのクレームだったといいます。 「店内は決して広くないですしね。お客さんもマナーのいい方ばかりではありませんので。食事をしているときに、横で置きたばことかをされて煙のニオイがすると、やっぱり嫌ですよね」(柘植さん、以下同)
紙巻たばこOK

手前からプルーム・テック(日本たばこ産業)、アイコス(フィリップ モリス ジャパン)

 完全禁煙にせず加熱式たばこOKにしたのは、客層としてたばこを嗜む人もまだまだ多いこと。「料理に向き合うため、25歳でたばこをやめた」という柘植さん自身が、加熱式たばこのニオイが気にならなかったこと。そしてなにより、「お客さんみんなに食事をスムーズに楽しんでもらいたい」からだそうです。 「今も、紙巻たばこのお客さんのために店外に灰皿を用意しているんです。でも、もし全面禁煙にしたら、吸いたくなったお客さんはその度に外に出ることになる。周りのお客さんも頻繁に出入りがあると気になりますので。僕の料理はパンチもあるのでお酒もすすむし、やっぱり吸いたくなる人は吸いたくなるんですよね」

お客さんの反応はいかに?

柘植和志さん

柘植和志さん。都内の中華の名店で修行し、料理長を歴任した後、33歳で独立し、「コクエレ」をオープン

 紙巻たばこがたばこ葉を燃やして煙が出るのに対して、加熱式たばこは燃やさずに加熱して蒸気が出る仕組み。加熱式たばこからプカプカ出てるのは煙かと思ったら、あれって蒸気なんですね。  煙ではないから、ニオイがほとんど出ず、健康への影響が懸念される物質も大幅カットされるとして、紙巻たばこから切替える人が増えているようです(プルーム・テックはニオイが1%未満で有害物質99%カット、アイコスは有害物質90%カットと謳っています。いずれも自社調べ)。  でも、加熱式たばこは煙は出なくてもニコチンは出るわけで、お客さんの反応はどうだったのでしょうか?  柘植さんによると、お店の対応の変更に、喫煙するお客さんからは特段の反応はなし。一方で、非喫煙者の中には「加熱式たばこでもイヤ」というお客さんもいるそうです。 「でも、そこまでたばこが嫌いなら、完全禁煙のお店に行かれるでしょうし。選択肢はたくさんありますからね。条例で規制が始まれば別ですが、僕の判断で完全禁煙にすることはありません」
コクエレお酒

シビレや辛味などパンチの強い料理には、重ための熟成酒が合うという

 もとより「コクエレ」は、柘植さんが「万人受けする料理ではなく、自分の舌と似た感覚を持つ方に来てもらいたい」と作ったお店。繁華街ではなく西小山という場所を選んだのも、店の前に大きな看板もないのも、「味で人を呼ぶ」という思いからです。

名物・麻婆豆腐のシビレ感に感動

 味へのこだわりは半端なく、使う山椒は中国の名産地・四川省漢源産。入手しにくい生山椒とクミンは自ら仕入れに赴くとか。香辛料は保存の方法から料理に合わせての使い分け、加えるタイミングまで柘植さん独自の流儀があります。お客さんに提供する料理は、すべて自分の手で仕上げ、スタッフに任せるのは唐辛子の種を取ることぐらい……。
麻婆豆腐

シビレが心地よい「麻婆豆腐」(1600円)。「激辛麻婆豆腐」「パクチー麻婆豆腐」などお好みで

 実際、お店の名物の一つ「麻婆豆腐」を食べてみると……絹ごし豆腐の口当たりは滑らかで、心地よい辛味、爽やかなシビレがとにかく美味しい! 油づかいが繊細なのか甘みすら感じる、箸が止まらない美味しさです。  聞けば、赤と青の2種類の山椒を使い、粉山椒は焙煎することで深みとシビレを高め、ホール状の山椒が香りを立たせているのだとか。
繊細な味わいの「かにと四川はるさめのスープ」(1600円)

繊細な味わいの「かにと四川はるさめのスープ」(1600円)

 一方、「かにと四川春雨のスープ」はというと、えび味噌と干しエビの旨味が深く、優しい。タイプの違う2品を味わい、「なに、この振れ幅?」と驚くばかりです。また、お店のスペシャリテ「なすのカリカリ揚げ 焙煎山椒風味」には中国のメディアが取材に来たほど。 「コクエラー」を自称するリピーターがいて、シビレブームのずっと前から、多くのお客さんが電車を乗り継いで、わざわざ訪れるというのも納得、なのです。  お料理やインテリアから喫煙ルールまで、オーナーの個性があらわれる飲食店。自分にとって居心地のいいお店でお酒を飲むのは、至福ですよね。 【coQere コクエレ】TEL 03-6303-2543 〒152-0011 東京都目黒区原町1-16-17 1F [ 火~金 ] 18:30~(L.O 23:30) [ 土日祝 ] 17:00~(L.O 22:30) ※土日祝は事前予約の方のみ 定休日/月曜日(火曜日臨時休業有り) <取材・文/小山武蔵 撮影/林 紘輝>
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