『なつぞら』天陽くんの絶命で魅せた、吉沢亮の憂いと艶っぽさ
9月3日、広瀬すず主演のNHK連続テレビ小説『なつぞら』の中で最も人気が高いキャラ・吉沢亮演じる「天陽」が、病気によって他界しました。
天陽といえば、ヒロイン・なつに絵心を教えた人であり、初恋の人。物語の序盤では、草刈正雄演じる「おんじ」こと泰樹とともに、人気を牽引していました。
子ぎつね感漂わせる、子役時代の素朴で涼し気な目の坊主頭・荒井雄斗も非常に可愛かったのですが、吉沢亮に交代してからは、女性たちの食いつきが一気に変わりました。緑まばゆい牧場で、キラキラの甘い笑顔で手を振る姿は、輝き過ぎて、周りから浮いているほど。
中盤以降は出番がほとんどなくなったにもかかわらず、人気はまるで衰えず、本人が登場しない回でも、登場待ちのファンの多数のつぶやきによって「天陽」がTwitterでトレンド入りするほど。なつが上京して以降は、「ワイプで常に北海道の天陽くんをうつしておいてくれ」という声もチラホラ見られました。それほどまでに独立した世界を築いていたのです。
上京するなつに「がんばれ」と言って背中を押し、と同時に「帰ってくるのを待たない」と宣言した天陽は、別の女性とあっさり結婚してしまいます。
それも驚きでしたが、坂場一久(中川大志)との結婚を決めたなつが里帰りし、再会したときの天陽の姿には、多くの女性が衝撃を受けたことでしょう。
以前よりも少しふっくらしておじさんっぽい体型になって(服の着方や姿勢で、そう見せていたのでしょう)、髪は以前よりもボサボサ、気の抜けた感じのシャツを着て、隣にはいかにも「田舎のかあちゃん」然とした妻・大原櫻子が赤子を背負っています。
その力みのない様子がまた、荒んだ感じでも、疲れた感じでもなく、普通に幸せな生活を送っていることを想像させる、自然体の年の重ね方なのです。
自身はアニメーターとして成長し、綺麗な服に身を包んで、夫になる男性を連れてきたなつ。しかし、再会時の天陽の所帯じみた姿には、幻滅するどころか、「地に足ついた幸せ」という次のステップに進んでいるゆとりが感じられました。結果的になんとなく勝手に敗北感を覚えるシチュエーションになっていたと思います。
吉沢亮演じる天陽くん、出番がなくても大人気
もっさりした天陽くんの自然体
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