超束縛のDV彼氏から逃亡。会社を辞め引っ越しを決行したら…
直接的な暴力行為だけでなく、言葉などによるケースも多いと言われているドメスティックバイオレンス(DV)。
2001年にDV防止法が施行され今年で20年目を迎えますが、相談件数、摘発件数は年々増加の一途をたどっており、2018年に警察に寄せられたDVに関する相談はなんと7万7482件(※警察庁統計より)。やはり被害者は圧倒的に女性が多く、全体の8割近くを占めています。
現在は優しい夫と2人のお子さんの育児に追われる日々だという嬉野恭子さん(仮名・31歳/歯科助手)も警察に相談こそしなかったですが、独身時代に当時の彼氏からのDVに苦しんでいたひとり。「最初はすごく穏やかそうな人に見えたけど、実際にはまったく正反対だった」といいます。
「相手は仕事帰りにときどき寄っていたバーで知り合った4歳年上の会社員で、22~24歳の約2年間付き合っていました。夜や休日は常に一緒に居たがる人で、最初は私も愛されてると感じてすごくうれしかったんです。
ただ、たまに友達や同じ職場の子とご飯を食べに行くのにも嫌な顔をするようになり、彼氏には言わないようにしていたんです。けど、隠していたのがバレて殴られ、メールのやりとりも彼氏が隣で見ているときにしかできず、『誘われても必ず断れ!』と命令されていました」
行動を監視したかったのか彼氏は恭子さんの住むアパートに入り浸るようになり、別れるまでの半年は半同棲状態。そのため、プライベートはないにも等しく、スマホにロックをかけることも許されませんでした。
「それどころかある日、スマホをチェックしたら友達の連絡先が全部削除されていたんです。どうやらフォルダごと消してしまったみたいで……。
さすがに家族の連絡先は削除されなかったですが自分から電話やメールをすることは許されず、そのうちどうすればこの彼氏から逃げることができるか、そればかりを考えるようになっていました」

幸いにもDV被害者がかけられてしまいがちなマインドコントロールは解けていたようで、もう1台スマホを購入して職場の個人用ロッカーに保管。そのスマホで情報を集め、彼氏から逃げるための作戦を着々と進めていたそうです。
「実家のある九州に戻ることにしたんです。母親には事情を説明し、メールでその話題には絶対触れないようにお願いしました。さすがにDVを受けてることは心配されるから言えませんでしたけど。引っ越しは夜逃げなどを扱っている業者を調べ、そこに頼みました」
作戦決行の日は、会社を辞めた翌日。いつもと同じように彼氏と一緒に出勤するフリをして家を出て、途中で別れてから急いで自宅にUターン。すでに引っ越し業者のトラックは自宅アパート前で待機しており、挨拶もそこそこにすぐにスタッフと作業に取り掛かります。
積み込みと簡単な部屋の清掃を2時間半ほどで終え、その時間に合わせてあらかじめ呼んでいた不動産屋にカギを返却。その足で空港に向かい、飛行機で九州の実家に戻ったそうです。

※写真はイメージです
友達と会ったのがバレて殴るDV彼氏

会社を辞め、夜逃げ同然で自宅を引き払い

写真はイメージです
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