「生意気な女ね」CAと女性地上職の“ガチバトル”体験談が怖い
こんにちは。ライターの高木沙織です。
かつてグラホ(グランドホステスの略、現在のグランドスタッフ)として6年間勤務してきた私。みなさんが空港で接する、航空会社の地上職員です。
海外への旅行や出張などで飛行機を利用するとき。出国審査を終え、免税店を横目に(買い物ももちろんアリ)ゲートに向かって歩いていくと、窓から大きな飛行機を間近に見ることができます。これって、ちょっとテンション上がりません?
成田育ちの私にとって飛行機は親しみがある一番好きな乗り物。グラホも業務で飛行機のなかに入る機会が多々あるのですが、在職中に嫌だと思ったことなんて一度もなかった! ……客室乗務員とバトルになったあの日を除いては。
出発前の機内での仕事は基本的に客室乗務員がおこないますが、搭乗開始前にグラホが乗客リストを持って事前打ち合わせ(ブリーフィング)のために足を踏み入れることをご存じでしょうか? つまり、私たちグラホも飛行機のなかに入るんですね。
私が働いていた某外資系航空会社では、出発ゲート担当のひとりがシップサイドといって飛行機へと乗り込むドアのすぐ脇に配置され、機内にいるクルーパーサー(責任者)とのやり取りの内容を、モトローラーと呼ばれる無線機を使ってチェックインカウンターやゲート責任者、そのほかのスタッフと共有する業務があります。
「今日は車椅子のお客様がいて、席は◯◯です。搭乗は一番最初です」
「〇〇(席)のお客様はアレルギーがあるので、機内食は△△(特別にオーダーした機内食)です」
こんな感じでチェックインしたお客様の情報をクルーパーサーに伝達するんです。
で、「搭乗開始は何分からOK?」という話しまでをひとりでこなす。はい、ここでこの業務の好き嫌いが分かれます。というのも、簡単なやり取りだけで済むケースはほとんどなく、クルーパーサーからの質問だってもちろんある。英語で……。このような話を正確にやり取りする語学力に自信がないスタッフは、シップサイド業務に対して苦手意識が強いんです。
私だって独り立ちしてすぐの頃は口から心臓が飛び出しそうなくらいドキドキして、漫画のようにお腹がギュルギュルと痛んでいましたから。
さて、そんなシップサイドでの業務。私は大好きでしたね。クルーパーサーもほかの客室乗務員もコックピットクルー(機長・副操縦士)も外国籍だったのですが、ちょっとした待ち時間にこれまでにフライトをしたオススメの国の話をしたりなんかして。
「今日の成田の地上職員は美人ぞろいだね(ナンパじゃない、女性をよく褒めてくれる国の人だから挨拶のようなもの)」
「この前免税店で買ったこの香水どう?」
とか、なにげない会話が楽しかったな。
それに、シップサイド業務のやりがいと責任感に燃える、という性分だったし。あと、怖い先輩方の目から離れられる癒しのひとときだったしね。
だけどある日のフライトで……。
お客様が続々と搭乗する機内の細い通路を、ツカツカと鬼の形相で逆走してくる客室乗務員がいるではないですか! もう嫌な予感しかしません……。
好き嫌いが分かれる機内でのブリーフィング

慣れてくれば雑談も楽しみのひとつ
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