声というのは意外と、その人の第一印象を左右します。よく通る声はクリーンな印象を持たせますが、逆に声が聞き取りづらいだけで、残念な人認定されてしまうことも。

「社会人になってからは、公私問わず声の印象で悩まされました。朝イチの商談では、酒やけのような声に客先で妙な顔つきをされることもありましたし、電話口の声が聞き取りづらい、とクレームを受けたこともありました。
相変わらずプライベートでも外見と声のギャップに悩まされ、フリーのうちは合コンに行く度に酒豪いじり、恋人ができると夜の営みの際に女性らしい声が出ないことに悩みました。趣味のソーシャルゲームでは、ボイスチャットをつなぐと『ネカマ(ネット上で女性のふりをする男性のこと)』と言われるし、声の印象での損があまりにも多すぎると感じていました。
30歳になって多少の貯金ができたこともあり、どうにか医学で声がれが治療できないかと考え始めました。
「ボイストレーニングや滑舌をよくする教室などもあったけれど、私は抜本的に声の高さを上げたかった。なので、都内で有名なボイスクリニックを探して、まずは受診してみることにしました」
すると、受診先の病院で驚くべき事実が発覚したといいます。

「実際に診察してもらうと、
私の声がれは『声帯結節』という一種のポリープで、保険利用で手術ができる、と言われたんです。自分の声枯れに理由があって、しかも治るということが分かった時は本当に嬉しかった。
手術は声帯に電気メスを入れるもので、手術後1ヶ月近く、会話がまともにできないと。仕事は休まざるを得ないけれど、私は迷わず手術を受けることを決意しました。
そして今年。外出自粛の期間に合わせて手術をして、私は“酒やけ女”からも“のぶ代”からも脱することができたんです」