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井浦新が養子を迎えた父親役に、「血の繋がりより大事なもの」とは

特別養子縁組支援団体を知ったシーンの思い

――井浦さん演じる清和と佐都子(永作)がベビーバトンを知ったのは、その活動をたまたまテレビで目にしたことでした。無精子症によって不妊治療を続けるも上手くいかなかった清和が、あの番組を、チャンネルを変えずに見続けられたのはなぜでしょう。
特別養子縁組支援団体を知ったシーンの思い

『朝が来る』より

井浦「清和としては、別れたほうが佐都子さんのためだと思ったこともあったわけです。出産するとか、母になるといったことが、自分と一緒にいる限りはきっとさせてあげられないから。本当に申し訳ないという気持ちがあった。でも佐都子さんは受け入れて『2人で生きて行こう』と言ってくれた。空港での2人のシーンがありますが、あそこで2人は次のステージに入ったんだろうと思うんです」 ――胸が締め付けられるシーンでした。 井浦「あそこで何かをくくったというか。揺るがない器をしっかりと2人で築いていく覚悟を持った。そんな器を持てたうえで、母として、父として生きてくこともできるかもしれないと、画面を見て知ったときに、チャンネルを変えることは、やっぱりできなかったんだろうと思います」

大切なのは、親と子どもが家族として一緒に育っていく環境

大切なのは、親と子どもが家族として一緒に育っていく環境――清和と佐都子は血の繋がらない息子と家族になっていきます。“家族になる”ために大切なことは何だと思いますか? 井浦「僕自身はとても奇跡的なことに子どもと血が繋がっていますが、ただ、血が繋がっているから家族だとは単純には言えない。形式的には家族ですが。いくら産みの苦しみを知っていたとしても、母になれないまま母親として、ただあることになってしまうこともある。  血が繋がっているとか、繋がっていないとかではなく、一緒にいる時間が大事だと思います。長さではなく、同じ痛みを知って、同じ喜びを感じて、親と子どもが家族として一緒に育っていく。その環境が大事なのではないでしょうか」 (C) 2020「朝が来る」Film Partners <文・写真/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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