父親が子どもの前でAV鑑賞。“性的虐待だった”と認められない娘の心
“親からの性的虐待”を認めたくない、子どもの気持ちと暗い影
父親の言動に怒りを覚えても、断固としてそれを“虐待行為”とは認めたくないと語る松浦さん。しかし過去の記憶は、今も彼女の心を蝕(むしば)んでいます。
「今も私が女性らしくあればあるほど、父から『よけいに性的な目で見られてしまうんじゃないか』という漠然(ばくぜん)とした不安がぬぐえなくて。そんな目で見られるわけがないのに、おかしいですよね。
社会人になった今は薄化粧で、ずっとショートカット。服は中性的か、ボーイッシュ。今の私がどれくらい父の影響を受けているか分かりませんが、女性らしい服装をするのはなぜか苦手です」
スカートを履くことはほとんどなく、常にパンツスタイル。
「本当、デリカシーのない親を持つと大変(笑)」
そう笑う顔に、どことなく影を感じるような……。無責任な親の言動は、ゆっくりと長い年月をかけ確実に、子どもの心に暗い影を落としているように思えます。
家族からの性的虐待は外部からの介入が難しいのが実情です。子どもは性被害を受けたと気付かなかったり、気づいても“自分のせいで家族がばらばらになるのではないか”と外に助けを求めることができなくなってしまうことも多いといいます。また、加害者から口止めされたり、子ども本人が悪いことをしているという罪悪感から話すことができない傾向もあります。
「性」について話しづらい、相談しにくい雰囲気が世の中全般にあることや、子どもが性的虐待について告白しても信じてもらえなかったりすることも背景にあるといえるでしょう。この空気を変えることが、苦しむ子どもを減らすために私たち大人が今するべきことなのではないでしょうか。
また、もしあなたが周囲の子どもから性的虐待被害の告白をされた場合は、問いただしたり、しつこく尋ねたり、内容を言い換えて確認したりなどの干渉はしないでそのまま聴き取り、児童相談所へ知らせるようにしてください。
※参考「性的搾取からの子どもの安全」サイト『子どもへの性的虐待・家庭内性暴力の初期対応手引き 保育所・幼稚園の保育者のために』
<文&イラスト/赤山ひかる>赤山ひかる
奇想天外な体験談、業界の裏話や、社会問題などを取材する女性ライター。週刊誌やWebサイトに寄稿している。元芸能・張り込み班。これまでの累計取材人数は1万人を超える。無類の猫好き。


