彼が急に帰る上、食事代も立て替えてほしいと言われて
外に出て話していたKくんが戻ってくると「本当にごめん、母親が病気みたいなんだ。今度埋め合わせするから帰るね」と言われてしまった千奈美さん。
「残念ですが、ご家族の体調不良なら仕方がないので『私の事は気にしなくていいよ、はやくお母様のところに行ってあげて』と言うと、Kくんがお財布からお金を出そうとして『うっわ』と頭を抱えたので、何だろうと思いました」
彼はしどろもどろで「もちろんオゴるつもりだったんだけど、この後ちょっとお金がかかりそうだから、ここの食事代立て替えてもらっていいかな?」と千奈美さんにお願いしてきたそう。
「え、だってこれから自分の家に帰るだけなのに何で?と思いました。Kくん実家住まいのはずなのに」
様子のおかしなKくんを千奈美さんが質問攻めにすると…。

「Kくんが『ごめん!時間がないから正直に言うと、同じ学校のずっと狙っている子から急に誘われたんだ。このチャンス逃したくないからホントにごめん!』と謝られて。あきれるやら、情けないやら複雑な気持ちになりましたね」
彼はサッとジャケットを羽織り「僕ら、友達同士だからいいよね!またね」と店を飛び出していきました。
「Kくんは、クリスマスを一緒に過ごす相手が欲しくて、とりあえずフリーでホイホイ付いてきそうな私を誘っただけだったんでしょうね。だんだんムカついてきて…2人前の料理をテイクアウトにしてもらい、帰って全部やけ食いしました」
せっかく好きになりかけてたのに、クリスマスイブの夜、楽しそうなカップルが何組も過ごしているレストランに置き去りにされた事がどうしても許せなかったそう。
「もちろんその後、バイト先で一緒になった時に、Kくんに食事代半額もらいました。オゴるって言われましたが『もうあんまり口聞きたくないから、必要最小限しか話したくない』と言ったら黙っていましたね」
それから、何だか男性を好きになるのが怖くなってしまった千奈美さん。
「もう誰を信じたらいいのか分からなくなってしまいました。私はいつになったら楽しいクリスマスを過ごせるんでしょうね」とため息をつく千奈美さんなのでした。
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年末年始のトホホエピソード―
<文&イラスト/鈴木詩子>
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漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
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