女子の中学お受験でモヤッ。早慶付属中で女子の募集はなぜ少ないのか
いよいよ中学受験シーズンが近づいてきました。志望校への出願も始まり、年明けからは、いよいよ入試本番をむかえます。そんななか、進学説明会に参加した保護者によるツイートがちょっとした話題になりました。
ツイートの内容は、“志望校の募集要項に書かれている募集人員を見たところ、女子の募集人員が男子より少なく、その男女比に疑問をもった”というものです。気になった保護者が、説明会に来ていた学校関係者に理由を聞いたところ、「男女比を同じにすると、女子の元気さに男子が負けてしまうから」という旨の説明を受けたとしています。
このやりとりを保護者がツイートすると、リプライ欄には「他校の説明会でも、男女比について似たような説明があった」などという保護者たちからの返信もいくつかったのです。
そこで東京の私立中学の募集要項を調べてみました。
すると、ほとんどは男女を分けない「合計人数」のみか、「男女同数」の募集です。
その中で、早稲田実業学校中等部は男子85名・女子40名、慶應義塾中等部は男子約140名・女子約50名(内部進学者の進学状況により多少の変動あり)で、女子の募集人数が大幅に少ないことがわかりました(いずれも公式サイト掲載の2021年度の生徒募集人数)。
男女比は各学校の方針なので、法に触れるわけではありません。ですが優秀な娘を持つ親なら、モヤッとしてしまうかも…。
では、男女の人数差は早慶付属中学ぐらいの話なの?と思って、実際の生徒数を調べてみると、男子のほうが多い有名中学がけっこうあるんですね。
例をあげると首都圏では、慶應義塾中等部(男469 女289)、明治大学付属明治中学校(男293 女229)、法政大学第二中学校(男427 女242)など。関西では、同志社中学校(男451 女428)、関西学院中学部(男419 女子318)など(データは各学校公式サイト、2020年12月28日時点)。
結果的に男子が多くなっただけで、男女比は意識してない、という学校もあるでしょう。ただ、各受験産業が集計した入試倍率をみると、有名中学は「女子のほうが倍率が高い=狭き門」だという傾向があるようです。
また、慶應義塾中等部は「男女の比率はおよそ2: 1です」と公式サイトで明言しています(1年生は男子156《28》、女子96《47》。《》内はそのうちの幼稚舎からの進学者。公式サイトより)。
こういった私立中学の男女比には、どのような理由があるのでしょうか。
早稲田実業学校中等部と慶應義塾中等部に男女比について問い合わせたところ、期日までに回答はありませんでした。
また、女子の募集人数が男子より少ない某私立中学に、取材を申し込んだところ、学校名を出さない前提で「小学校からの内部進学者もいるので、それを考慮しての結果です。それ以上の理由はありません」という回答でした。ですが、同校がホームページで公表している小学校の生徒数や内部進学者情報を見ると、“調節”では説明がつかないレベルで、中学入試の募集人数に男女差があるように見えました。
これらの釈然としない回答は、ツイートにもあったように「同じ比率にすると、女子の元気さに男子が負けてしまう」からなのでしょうか?
私立中学の人員の男女比には、学校側のどのような思惑があるのか、『中学受験「必笑法」』(中公新書ラクレ)など多くの著書がある教育ジャーナリストのおおたとしまささんに話を聞きました。
早慶付属中では、女子の募集がずっと数ない
実際の生徒数では、男子が多い有名中学がチラホラ
早慶付属中学に聞いてみると…

慶応義塾図書館・旧館(三田キャンパス)
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