『逃げ恥』が賛否両論でも「星野源がいれば大丈夫」と思える理由
2021年新春に放送された「逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!」(TBS系列)は賛否両論を巻き起こした。まさに“異論!反論!OBJECTION”(覚えていますか、「逃げ恥」が連ドラのとき出てきたネタで、TBSの報道番組「NEWS 23」にあったコーナー名です)。
ここでは主に出演者の星野源について書くが、まず、スペシャルの概要を説明しよう。
紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、子供ができ入籍したみくり(新垣結衣)と平匡(星野源)が、妊娠、出産、更にはコロナ禍を乗り越えていく。そこには現代社会への問題提議がたくさんあって、それを評価するヒトもいれば、もうすこしみくりと平匡のムズキュンエピソードが見たかったと思うヒトに二分された。それはある意味成功である。
作品は褒められるだけでもだめ、けなされるだけでもだめ、賛否両論あったほうが盛り上がるといわれている。そのため、ときには送り手側(主として宣伝や広報担当)が意識的に賛否両論を仕掛けようとすることもあるが、必ずしも狙いどおりにいくとは限らない。とりわけ昨今は、ネットでの賛否が激しい分断を引き起こすから、賛否両論を作り出すことも慎重さが求められる。
そんなときこそ、星野源である。
あえて断言しよう、星野源がいれば、分断は防げると。
なぜなら、彼は分けるのではなく、重ねるアーティストだからだ。

(画像:『逃げるは恥だが役に立つ』公式サイトより)
あえて断言しよう、星野源がいれば、分断は防げると
昨年、コロナ禍で日本が自粛中に星野源が発表した「うちで踊ろう」の歌いだしは「たまに重なりあうような僕ら」である。みんながそれぞれの家で。それぞれの心のうちで。踊る。それがたまに重なる。そんなふうに言葉で説明してしまうと身も蓋(ふた)もないけれど。2020年の暮れ、「NHK 紅白歌合戦」に出演したとき、「うちで踊ろう(大晦日)」バージョンを聞いたとき、その「重なる」の意味がよりわかった気がした。