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『逃げ恥』が賛否両論でも「星野源がいれば大丈夫」と思える理由

紅白の衣装は白と紅を重ねたようなピンクだった

 星野源が2020年の紅白歌合戦で着ていた衣裳の色に気づいた視聴者も多かった。彼は白組のひとりとして出演していたが、衣裳は白でも紅でもない、白と紅を重ねたようなピンクだった。2020年に限らず、ほかの年でもピンクを身に着けていたことがある。意識的なのか、単に好みかわからないけれど、そこに混ぜるな危険という警句はなく、分けない思慮深さだけがあるように思う。
 星野源の盾はパレットだ。  パレットにいろんな色を出したとき、どうしても好きな色、好きじゃない色があるもので、それはそれで棚にあげておいて、でも時々、色を重ねたり、混ぜたりしてみると、好きじゃない色も意外と好きな色になることだってある。混ぜ過ぎればどんどん黒くなっていくけれど、いろんな色の混ざった深い黒には味わいがあるし、ちょっと話はずれるけれど光だったら三原色を均等に混ぜると白くなるのだ。 「うちで踊ろう」には「雲と光混ぜたあと」という歌詞があった。「恋」には「指の混ざり」という歌詞がある。混ぜたり、重ねたり。それはたぶん、愛だ。

結局のところ愛なんじゃないか

 哀しい時代の哀しい状況に生きる私達の盾になるのは結局のところ愛なんじゃないか。星野源の歌を聞くとそう思う。
 社会問題を扱った部分が多かったと賛否両論の「逃げ恥スペシャル」で、筆者が最も好きな部分は、エンディングの「恋」ダンスで、連ドラ版にはなかった、星野源と新垣結衣がアイコンタクトをして踊る瞬間があるところ。「(ものごころついたらふと)見上げて思うことが」で並んだふたりの視線が重なった瞬間、心が踊った。 <文/木俣冬> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
木俣 冬
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami
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