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特徴>
においや湿気の通しにくさ:△
酸素の通しにくさ(⇒野菜などの酸化・劣化防止に):△
レンジ加熱の可否:◯
密着しやすさ:◯
ダイオキシン:△(発生させる可能性がある)
PVDCよりも安く買えるのがPVC。伸びやすくて使いやすいため、業務用ラップの中ではもっとも多く使用されている材質です。ただし、酸素の通しにくさの点でPVDCに劣るため、食材保存や匂い移り防止には不向き。
つまり、このラップを使って野菜などを保存しても、長持ち効果がないことを覚えておきましょう。また、キムチやネギを包んでも、冷蔵庫中に匂いが広がってしまうので要注意。長期的な保存ではなく、一時的な保存用として、もしくはレンジ加熱用に限定した方が良さそう。ダイオキシンの発生リスクはPVDCと同様です。

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特徴>
においや湿気の通しにくさ:×
酸素の通しにくさ(⇒野菜などの酸化・劣化防止に):×
レンジ加熱の可否:△
密着しやすさ:△
ダイオキシン:◯(発生させないので環境に優しい)
もっとも安価に売られていることが多いのがコレ。酸素を通しやすいので、食材の酸化防止、におい移り防止には不向きです。水分は通しにくいことから、出前などでは活躍しています。
また、密着度が低いために器や食材にくっつきにくいのが弱点。これを強化したナイロン配合のタイプが登場しています。PEは非塩素系のため燃焼によってダイオキシンを発生させることがないため、環境に優しいと言われています。
耐熱温度はPE単体だと110度であるため、油脂類が熱くなりすぎる場合など、レンジ加熱に向かないケースもあります。
最後にこれらをまとめると、環境に配慮をするのであればポリエチレン。食品劣化防止にはポリ塩化ビニリデン。レンジ加熱用途のコスパ重視であれば塩化ビニル樹脂でしょう。
いずれにせよ廃棄の場合は分別をしっかりすることが重要ですし、今回は紹介しませんでしたが、サステナビリティの観点から考えれば、再利用可能な「蜜蝋ラップ」(布に蜜蝋をコーティングして作るラップ)という選択肢も大いに考えられます。
さあ、いま一度、ラップの種類を再点検してみてはいかがでしょうか?
<文・撮影/食文化研究家・スギアカツキ>