眉は自分で変えられる唯一のパーツ。眉は顔の輪郭みたいなもの……。以前私は友人にこう言われて、眉の手入れに目覚めました。しかし顔や体が年齢とともに変化していくように、眉も年代ごとに変えていかねばなりません。ただ整えるだけではなく、自分の雰囲気やなりたいイメージにそって変えていくとなると、やはり至難の業。 　今回紹介する『眉の本』（光文社）は、基本の描き方から悩み相談まで、眉のすべてを語り尽くしています。著者でメイクアップアーティストのレイナさんいわく、「眉は生命力のバロメーター」。美しく眉が描けた時、鏡に映る顔立ちはいつもに増して凛としているはず。マスクで顔の半分が隠されている今こそ、眉の存在を思いきり生かそうじゃありませんか。 　眉のメイクだからといって、眉だけに集中してしまうのはNG。メイク中はどうしても鏡に貼りついてしまうため、ついパーツごとにとらえてしまいがち。でも出会う人はあなたの全体像を見ているはず。顔の印象を左右するのは、向き合った相手だったりするのです。そのためには、自分の顔を客観的に知っておく必要があります。まずは本書のレッスン1、「顔立ちに合った眉のために、眉の設計図をイメージしましょう」から一部ご紹介します。 ＜眉のチェックポイント＞ ・太さ……黒目の1/2以上を目安に。 ・カーブ……眉山は目尻側の白目の間に設定。眉山から眉尻までのカーブは、目もとのカーブと平行に。 ・長さ……眉頭より眉尻が下がらない。眉尻は口角と目尻の延長線上に設定。 　描き方の他に眉の悩みといえば、眉毛の量ではないでしょうか。眉毛が濃いからといって、やたら抜くのもこわいし、眉毛が薄いからといってアートメイクは敷居が高い。濃い、薄い、細い、そんな悩みに本書がメイクで解決。押さえどころを抜粋してみました。 ・剛毛眉……ペンシル＋ブラシ＋眉マスカラ 　ボリューム感を出すパウダーは使わず、ブラウン系の眉マスカラで眉色をワントーン明るく整える。 ・薄眉……パウダー＋ペンシル 　多色パウダーで全体の毛量をボリュームアップ。ペンシルで毛並みを描き足す。 ・細眉……リキッド＋パウダー＋ブラシ 　リキッドアイブロウで下絵を描き、太さはパウダーで補正する。 「眉は自信の素」とレイナさん。本書には、眉のコンプレックスから解き放たれた人の生き生きした写真や、輪郭やパーツのバランスを考慮した眉メイクがたくさん載っています。まさにレイナさんの眉愛と、誰もが秘めている眉の可能性が詰まった1冊です。 ―小説家・森美樹のブックレビュー― ＜文／森美樹＞