――実は今年、『BLUE/ブルー』で時生さんに取材させていただきまして。時生さんはいつも「兄ちゃん、大好き！」と話していますが、最近は「かっこいい」に加えて「羨ましい」という感情が出てきたと。佑さんが「自分の居場所を見つけた」気がすると言っていました。 柄本「ほお～。どうだろうな、分からないですね。でもそうやって思われることに対して納得する部分もあります。そう思われる一面はどこかにあるのかなと」 ――自分の好きなものを好きなように出せるようになった気がすると。たとえば映画フリークなところも、仕事のなかで自由に、自分のライブラリーから演技のヒントに持ってきたりしているのが分かると。自由にできる場所を自分で見つけたんだなと。 柄本「そういう一面はなくはないです。今まで漠然とやっていたことを、もうちょっと具体的に、意識的にやるようになったというか。作品に向かうときの姿勢のなかに、過去の映画から引っ張ってきたり、自分のなかのライブラリーから持ってくるということも、今まで無意識でやってきたことを意識的にやっているところはありますね。でもそれも時期の問題だと思います。今はそういう時期なのかなと」 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます ――柄本さんは映画ファンにはずっと支持されてきましたが、自由や居場所を見つけたというのは、ここ数年のいわゆる一般的な人気が高くなっていることも関係ありますか？ 柄本「世間的なことは何ら関係ないです。今が自分のなかでそういうことを試している時期というだけですね。それに、こういう仕事ですから、今はありがたくお仕事をたくさんいただいて、忙しくさせていただいていますが、いつまでもこの状態が続くとは思っていません。この先、重要になってくるのは、ちゃんと生きているかということだと思います。結局は。柳家小三治師匠が、『芸なんてできる限りのことしかできない。あとは人です』とおっしゃっていて。それって真だなと思うんです」 ――“あとは人”。 柄本「どんな職業にしてもそうだと思いますけど、やっぱり人としてちゃんと生きてるってことが、一番仕事にも繋がるというか。結局、人が芸になっていくので。だから人としてちゃんと地に足をつけて生きてるってことが、一番の自分磨きというか、役者とかお芝居ってことにも繋がるのかなと。あとほかに『1個も落としちゃいけない』という思いも頭にあります」