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――山森さんが怖い漫画を描き始めたきっかけは何だったのですか?
山森:もともとは日常的なことを中心にエッセイ漫画をインスタグラムに投稿していたんです。ある日、「そういえばこんなことがあったな」と思い出して、「小学生時代に夜中に目を覚ますと足元の布団の上に”猫みたいな顔をした男”がいた」という体験を漫画にして投稿しました。すると思いのほか「怖過ぎる!」と反響が一気に寄せられたんです。
良い反応も悪い反応の両方があって、怖過ぎて具合が悪くなる人や影響を受けやすい人がいることが意外に多いことが分かりました。それで日常系の漫画と怖い漫画のアカウントを分け、怖い漫画のほうは鍵アカウントにしたんです。
――たった一話でそこまで大きな反応があったんですね。
山森:「怖い話って意外に需要があるんだな」と気づいたのもこのときでした。今までは「ヤバイ人」だと思われると困るので、怖い体験をなるべく人に話さないようにしていたんです。
でも自分の中では「王様の耳はロバの耳」みたいに、どこかに吐き出せる場所がほしいという気持ちもあり、「描いてみるか」と思って始めたのがきっかけです。
――山森さんはホラー漫画を読むことは好きだったのでしょうか?
山森:私は怖がりなので怖い話が好きじゃないんです。子どもの頃は犬木加奈子さんや伊藤潤二さんのホラー漫画を読んでいましたが、大人になってからは怖い本は全然読んでいないです。
――他のお仕事や育児もある中で、怖い漫画はいつ描いているのですか?
山森:子ども達は私のホラー漫画を怖がってはいないのですが、描いている場面によっては「子どもの心に刺さるとよくないな」と思うので、夜中に起きて描くようにしています。昼は通常のイラストを描くようにして時間帯を分けています。
――旦那さんの反応はいかがですか?
山森:毎回旦那にも読んでもらうんですが、全然怖がってなくて毎回爆笑しています。私は怖がらせるつもりで描いているんですけど。この本の「行き止まり」という話で描いたんですが、旦那も一昨年の夏にすごく怖い出来事に遭遇したんです。それでもまだ霊の存在を信じていません(笑)。
<取材・文/都田ミツコ>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。