子役出身の俳優さんは年齢不詳のイメージがあります。本郷奏多さんが現在31歳だということに驚かれた視聴者も多いでしょう。安達祐実さんも現在40歳であるということが信じられません。
人は、最初に目にしたイメージを引きずりやすいといいます。『カムカム』では、現在33歳の濱田岳さんが算太役を13歳から演じていますが、子役が演じそうな年齢の役でも納得できるのは、まさに『3年B組金八先生』などで印象深い10代のあどけない頃のイメージが視聴者にいまだ刷り込まれているからなのではないでしょうか。
多少無理のある年齢設定を、見事に中和した早乙女太一
芸歴の長さから逆に落ち着いた印象を感じられるパターンもあります。るい編に登場したトミー役の早乙女太一さんは、現在30歳ですが芸歴が長い分、年齢以上の貫禄や存在感を醸し出していました。
実年齢40代の俳優たちが20歳前後の役をしている中で、10歳以上若い早乙女さんは全く浮かず、多少無理があった周囲の年齢設定の空気を絶妙に中和していたように感じます。
『カムカム』は、“三世代の女性たちが紡いでいく、100年のファミリーヒストリー”。長い年月を描く作品だからこそ、幅広い年齢を自然に演じられる役者さんが必要です。だからこそ、演技力と年齢不詳の存在感がある子役出身俳優さんが多いのでしょう。
若いころから活躍する芸歴の長い役者さんが『カムカム』に多く出演しているのは、偶然ではなく必然なのかもしれませんね。
＜文／小政りょう＞
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
