瀬戸康史が演じる“文学系男子”が美しすぎてため息…。ドラマ『恋に落ちたおひとりさま』を考察
現在、Amazon Prime Videoで独占配信中のドラマ『恋に落ちたおひとりさま~スタンダールの恋愛論~』(以下、『スタンダールの恋愛論』)に出演する瀬戸康史が、どうも魅力的で気になってしまう。
いつでもきらきら王子様な瀬戸君だけれど、本作で演じる小説家役は、特別魅力的に映る。波瑠演じる主人公が、恋愛経験ゼロであるにも関わらず、文豪スタンダールの助言を頼りに小説家の彼に恋をするのは当然の話だ。
若き日のスタンダール本人すら思い起こさせる文学系男子としての瀬戸君について、「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が解説する。
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一組の男女が出会う瞬間は、さまざまな描き方がある。特にラブコメでは、お決まりのパターンがあって、向こうから走ってやって来た冴えない彼女とイケイケの彼が衝突するのがだいたいきっかけになる。
突発的なバカバカしさと非現実的なシチュエーション描写がラブコメの王道スタイルなのだ。『~スタンダールの恋愛論~』では、いったいどんな出会いの瞬間が生まれるのか、ワクワクしながら見守っていると、やっぱりすぐにその瞬間がやって来る。それも突発的でありながら、非常に文学的な瞬間として演出されている。
図書館の司書である岡部聡子(波瑠)が、担当するフランス文学棚の高いところに手を伸ばした拍子にぐらぐらっとふらつく。体勢を崩して後ろに倒れそうになった、その瞬間だ。彼女の腰にさっと手を当てて、全身で受け止めようとする鈴木涼介(瀬戸康史)の爽やかな雰囲気。完璧だ。
瀬戸康史にこんなことされたら、きっと受け止められていながら、逆に卒倒しかねない。聡子は、何が起こったのか理解出来ない感じで、夢見心地のまま、思わず妄想を膨らめる。
お決まりのパターンによって彼女と彼を出会わせ、そこから彼女の妄想が展開されることで、非現実的なシチュエーションにさらに非現実の妄想が塗り重なるようなこの場面。ラブコメの王道スタイルを大胆に飛躍させた、つかみは上々の名場面だ。
で、この飛躍が、文学女子らしい妄想によって展開されるのが、とにかく面白い。
聡子は、愛読するヴィクトル・ユーゴーのロマン主義小説『レ・ミゼラブル』に登場するマリウスに、危ないところを助けられたと錯覚するのだ。過去にトラウマを抱え、カウンセラーに通う彼女は、今まで一度も恋愛をしたことがない。異性にまったく免疫がない彼女が、突発的な接触を現実のこととしては受け入れられずに、湧いて出た妄想と捉えることもできる。でも、ふと我に返った彼女の視界は全面桃色状態で、もうこれは完全に恋の虜になっている。
そんな聡子と同じく、妄想の中のマリウスでも、現実の涼介でも、どちらにしても瀬戸康史のきらきら王子様な雰囲気に、ついため息がもれる。彼女が理想の男性像とするマリウスに扮するときは、しとやかなレディを前にして紳士的で誠実な態度を取るのが好青年すぎる。聡子が、恋する感情をめちゃくちゃにこじらせて、実は涼介が陰口を叩いてるんじゃないかと想像する別の妄想が描かれたりしても、それはそれで魅力的な瀬戸康史がいる。
実は涼介は、とある理由から、自分が新進気鋭の小説家であることを伏せている。瀬戸にこれほど作家役が似合うのが意外だったけれど、いやでも考えてみると、こういう文学系男子が一番似合うんじゃないだろうか?
ラブコメの王道スタイル

文学系男子の魅力

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